かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

アスガー・ファルハディ監督『セールスマン』を見る(6月11日)。


妻といっしょに川越を早く出て、渋谷Bunkamuraの映画館へ、イラン・フランス合作映画、アスガー・ファルハディ監督の『セールスマン』を見にいく。



ほとんど説明のないままストーリーが進んでいく。濃密な映画的時間の流れ。説明過多と人物類型化の多いハリウッド映画ではなかなか味わえない醍醐味。


妻が何者かに襲われる。事件後、夫婦の気持ちにズレが生じる。警察に届けることを反対する妻に夫は苛立ち、自分で犯人探しをはじめる。妻は、だんだん寡黙になって、夫にも心を閉ざしていく。そういう気持ちの襞を説明なしに、アスガー・ファルハディ監督はグイグイ描いていく。


夫を演じたシャハブ・ホセイニも、妻を演じたタラネ・アリシュスティも、抑制された演技で、心の繊細な動きを表現していた。タラネ・アリシュティの寡黙な美しさに見惚れる。



『セールスマン』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=2pzMyDpOijk



帰り、磯丸水産で妻と昼食。渋谷駅へ向かうと、ハチ公前の広場で、「共謀罪」に反対するデモをやっていた。チラシをもらい、電車のなかで読む。この日、国会前でも、「共謀罪」への抗議デモがあったことを、あとで知る。