かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

「KAWADE夢ムック『総特集 是枝裕和』」から(メモ)。


読み終わると、すぐ忘れてしまうので、ここへメモを残しておくことにする。



まずは、「穏やかな写真 樹木希林」(P64、引用箇所は、P65〜P66)。

私は七十四才、年をとったからって自動的に成熟するなんて、とんでもない誤解だ。正邪美醜、それを兼ねて人は人なんだ、特に役者は。是枝さんは人間の中にある複雑さを見つづける。


以上は、樹木希林さんの文章で、以下是枝さんの発言を樹木希林さんが、抜粋引用している。

「安倍政権を直接的に批判するドキュメンタリーもあっていい。だけど、もっと根本的に、安倍政権を支持している私たちの根っこにある、この浅はかさとはいったい何なのか、長い目でみて、この日本社会や日本人を成熟させていくには何が必要なのかを考えなくてはいけません。


『浅はかさ』の原因はひとつではありません。それぞれの立場の人が自分の頭で考え、行動していくことで、少しずつ『深く』していくしかありません。


戦争は自分たちの内側から起こるという自覚を喚起するためにも、被害者感情に寄りかからない、日本の歴史の中にある加害性を撮りたい。みんな忘れていくから。誰かがやらなくてはいけないと思っています。


性急に結論を出すと、もうひとつ奥にある真実へ到達できない。さすが樹木希林さん、と、着眼するポイントの鋭さに感心。



次は、「生きて映画を観られることが’’幸せ’’だと教えてくれた作品」(梁時滎=ヤン・シオン)の冒頭文(P74)。

「どんな映画が良い映画ですか?」とよく聞かれる。困った質問である。私見だが「劇場を出た時に始まる物語を持つ映画」或いは「答えではなく問いをくれる映画」と答えた。が、続けざまに「それってどういう映画ですか?」と来た。大変困った質問である。その時に「是枝裕和の映画を観ればいいです!」と答えてくれた人がいた。先日訪れた第70回カンヌ国際映画祭の場で急死した釜山国際映画祭の首席プログラマー、キム・ジソクの言葉である。


同感。是枝裕和作品の魅力を簡潔に言葉にしてくれた。