かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

大映女優祭で、『白鷺』、『女と三悪人』を見る(4月29日)。

4月29日、日曜日。


川越駅へ妻に迎えにきてもらい、川越スカラ座へ、衣笠貞之助監督『白鷺』を見にいく。ほんとうは、川島雄三監督、若尾文子主演の『女は二度生まれる』を見るつもりだったが、「大映女優祭」のスケジュールを見間違って、『白鷺』を見ることになった。でも、これが案外におもしろかった。


新派の舞台でお馴染の泉鏡花原作悲恋物語の映画化。衣笠貞之助と「赤線の灯は消えず」の相良準が脚色、「大阪の女」の衣笠貞之助が監督、「共犯者」の渡辺公夫が撮影した。「娘の冒険」の山本富士子野添ひとみ、「おーい中村君」の川崎敬三、「母の旅路」の佐野周二らが出演。


(「映画.com」から)
http://eiga.com/movie/37166/


なによりも、映像の美しさにおどろいた。古い映画を見るときは、ある程度の画面のノイズやセリフの聞きとりにくさは覚悟して見にいくのだけれど、そういう心配はまったくいらない。泉鏡花原作の明治の時代背景がうっとりするほど美しい。


これは、衣笠貞之助監督の美意識か、カメラマンなどのスタッフの功績なのか、わからないままに明治の茶屋街の優美な風景に見惚れる。



ニュー・プリントの美しさにおどろき、次の井上梅次監督の『女と三悪人』も見ることにする。妻は、座り疲れたので川越の町をぶらぶらして、映画が終わる時間にここへ来る、といって川越スカラ座を出ていく。


「妻あり子あり友ありて」の井上梅次が脚本を書き監督したコメディ・タッチの時代劇。撮影は「大菩薩峠 竜神の巻(1960)」の今井ひろし。出演は「続 悪名」の勝新太郎、「大菩薩峠 竜神の巻(1960)」の市川雷蔵、「黒い十人の女」の山本富士子など。


(「映画.com」から)
http://eiga.com/movie/35431/


山本富士子市川雷蔵勝新太郎の豪華共演。江戸末期の両国を舞台に、女座長・瀬川喜久之助(山本富士子)をめぐる恋のかけひき。話はたわいないけど、映画に力がみなぎっていた時代の贅沢な美術(背景・セット)が、ニュー・プリントでみごとに復活し、見応え十分。満足して映画館を出る。「大映女優祭」、もう1回機会があったら来てみたい。



妻と合流し、回転寿司の「スシロー」で遅い昼飯をすませて、川越の家へ帰る。