かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

今村夏子の小説『むらさきのスカートの女』と深田晃司監督の映画『よこがお』(7月27日)。

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7月27日、土曜日。晴れ。蒸し暑い。


数日前から喉が痛く、咳がときどき出る。この日も、マスクをして外出。「角川シネマ有楽町」へ、深田晃司監督の『よこがお』を見にいく。



早く着いたので、新有楽町ビルのなかにある「ルノアール」で、コーヒーとトーストのモーニング・サービス。


先日芥川賞をとった今村夏子の『むらさきのスカートの女』を電子書籍で読む。ふだん芥川賞直木賞作品をまめに読むほうではないけれど、今回受賞した『むらさきのスカートの女』は、ラジオで内容の概略を聞いておもしろそうだったので読んでみる。


むらさきのスカートの女

むらさきのスカートの女


「むらさきのスカートの女」を異常に気にして、ストーカーのように追いかける「わたし」(女性)が語り手。読んでいくと、現実のようでありながら、観察する「わたし」の主観が歪んでいて、非現実のようにも感じられる。


「むらさきのスカートの女」がおかしいのか、彼女を追いかける「わたし」がへんなのか?


現実と非現実が交錯するような小説や映画は好きなので、興味津々だったが、読み終えてみるとなんかものたりない。


映画『シックス・センス』(1999年)というホラー映画が大ヒットしたことがある。この映画は、視点が変わることによって、ドラマから受ける風景が一変してしまう。それがあざやかだった。


『むらさきのスカートの女』には、そこまでの変化はない。やんわりと語り手の歪みを描いたところが利点なのか?


個人的にいえば、その前に読んだ井上荒野(いのうえ・あれの)の作品『あちらにいる鬼』の鋭さに感動したあとでは、どうも分が悪い。



午前10時30分より、「角川シネマ有楽町」で、映画『よこがわ』を見る。



『よこがお』予告編/ある女のささやかな復讐。


地味な映画なので、前回ここで見た『新聞記者』のように8階のロビーがひとでいっぱい、というような混雑はなかったが、映画は、予告編で見たときの期待どおりで、静かな力作だった。


訪問看護師の市子(筒井真理子)は、患者や患者の家族にも信頼の厚い看護師だったが、本人の責任とはいえないある事件をきっかけに、どんどん苦境に追い詰められていく。


ひとの信頼なんて、なにかあればいとも簡単に崩れさってしまうものだ。そのことが全編にしっかりと描きこまれていく。


ディテールの描写がていねい。それと、主演の筒井真理子が、おおげさとはちがう圧倒的な演技で目を釘付けにする。


筒井真理子は、深田晃司監督の『淵に立つ』では、新しく自分の家に住み着いた身元不明な男への揺れ動く心理を、スリリングに演技してみせた。


その演技が監督の目をとめ、今回主演に抜擢されたのではないか、と勝手におもいこんでいる。


深田晃司筒井真理子の作品、もっと見たい、、、とおもいながら満足して映画館を出る。



帰りは、上野へまわる。立飲み「たきおか」へ寄って、ホッピーとつまみでお昼の代わりにする。


夜、妻の姉と息子夫婦が泊まりにきていた。わたしは、風邪が少しひどくなっていた。息子の妻が妊娠しているので、同席するときはマスク着用をいわれた。マスクをしていてはお酒を飲めないので、ひと部屋へこもって、夕方早くから眠ってしまった。