7月27日、土曜日。晴れ。蒸し暑い。
数日前から喉が痛く、咳がときどき出る。この日も、マスクをして外出。「角川シネマ有楽町」へ、深田晃司監督の『よこがお』を見にいく。
★
早く着いたので、新有楽町ビルのなかにある「ルノアール」で、コーヒーとトーストのモーニング・サービス。
先日芥川賞をとった今村夏子の『むらさきのスカートの女』を電子書籍で読む。ふだん芥川賞や直木賞作品をまめに読むほうではないけれど、今回受賞した『むらさきのスカートの女』は、ラジオで内容の概略を聞いておもしろそうだったので読んでみる。
- 作者: 今村夏子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2019/06/07
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
「むらさきのスカートの女」を異常に気にして、ストーカーのように追いかける「わたし」(女性)が語り手。読んでいくと、現実のようでありながら、観察する「わたし」の主観が歪んでいて、非現実のようにも感じられる。
「むらさきのスカートの女」がおかしいのか、彼女を追いかける「わたし」がへんなのか?
現実と非現実が交錯するような小説や映画は好きなので、興味津々だったが、読み終えてみるとなんかものたりない。
映画『シックス・センス』(1999年)というホラー映画が大ヒットしたことがある。この映画は、視点が変わることによって、ドラマから受ける風景が一変してしまう。それがあざやかだった。
『むらさきのスカートの女』には、そこまでの変化はない。やんわりと語り手の歪みを描いたところが利点なのか?
個人的にいえば、その前に読んだ井上荒野(いのうえ・あれの)の作品『あちらにいる鬼』の鋭さに感動したあとでは、どうも分が悪い。
★
午前10時30分より、「角川シネマ有楽町」で、映画『よこがわ』を見る。
地味な映画なので、前回ここで見た『新聞記者』のように8階のロビーがひとでいっぱい、というような混雑はなかったが、映画は、予告編で見たときの期待どおりで、静かな力作だった。
訪問看護師の市子(筒井真理子)は、患者や患者の家族にも信頼の厚い看護師だったが、本人の責任とはいえないある事件をきっかけに、どんどん苦境に追い詰められていく。
ひとの信頼なんて、なにかあればいとも簡単に崩れさってしまうものだ。そのことが全編にしっかりと描きこまれていく。
ディテールの描写がていねい。それと、主演の筒井真理子が、おおげさとはちがう圧倒的な演技で目を釘付けにする。
筒井真理子は、深田晃司監督の『淵に立つ』では、新しく自分の家に住み着いた身元不明な男への揺れ動く心理を、スリリングに演技してみせた。
その演技が監督の目をとめ、今回主演に抜擢されたのではないか、と勝手におもいこんでいる。
深田晃司+筒井真理子の作品、もっと見たい、、、とおもいながら満足して映画館を出る。
★
帰りは、上野へまわる。立飲み「たきおか」へ寄って、ホッピーとつまみでお昼の代わりにする。
夜、妻の姉と息子夫婦が泊まりにきていた。わたしは、風邪が少しひどくなっていた。息子の妻が妊娠しているので、同席するときはマスク着用をいわれた。マスクをしていてはお酒を飲めないので、ひと部屋へこもって、夕方早くから眠ってしまった。