先に見た山本透監督の映画『グッモーエビアン!』がおもしろかったので、原作も読んでみた。
- 自分の家の常識に疑問をもっている中学生女子・ハツキ。
- 元パンク・バンドをやっていたハツキの母・アキ。
- 同じくパンク・バンド出身。いまはハツキとアキと一緒に暮らしているけれど、ハツキとは血がつながっていないヤグ。
この常識やぶり一家(中学生女子は、至ってマトモ)のドタバタを描いているのは同じだけれど、先に映画を見ていると、人物のキャラクターも物語の展開も、映画のほうがすっきりしている。
ハツキを演じた三吉彩花、アキを演じた麻生久美子、ヤグを演じた大泉洋の配役がぴったりだったから、よけいそう感じられるのかもしれない。
麻生久美子演じる母・アキは、「ロックだねえ」とか「ロックじゃないねえ」とか、ロックであるかないかが生活の行動指針だけれど、残念ながら原作にはそういうはっきりしたものは出てこない。脚本を書いた山本透、鈴木謙一の創作のようだ。
ヤグも、脚本は大泉洋を念頭にアテガキされたのかもしれない。わたしには、原作のヤグはときどきセンチメンタルになるのがものたりない。ヤグはテッテー的にハチャメチャのほうがたのしい。でもそれは、大泉洋という天才的な役者が演じたから、可能になったのかもしれない。
映画の名場面というか、わたしが好きなシーンというか、強く印象に残っているシーンが原作にはない。先に原作を読んでいれば、そういう不満もなかったかもしれないが、どうもものたりなかった。
原作を読んで、逆に、映画化のできのよさを、確認した。