7月31日(土)、炎暑。
「新宿ピカデリー」へ、河村光庸(かわむら・みつのぶ)プロデューサーが仕掛け、内山雄人(うちやま・たけと)さんが監督した映画『パンケーキを毒見する』を見にいく。
時間があったので、ひさしぶり「新宿ピカデリー」の道路向いの「ルノアール」で、コーヒー・タイム。
林真理子作『小説8050』を読む。
この作家の発言にはときどき「おや?」とおもうことがあるけれども、小説家としての筆力はすごい。
子供の、7年間ひきこもりになった原因が、中学生のころの激烈ないじめにあったことがわかり、その父親が、いじめをくわえた3人と、いじめを隠した学校を裁判に訴える、という話。
果たして、証拠の乏しい7年前の事件が裁判に問えるか?
おもしろいので、どんどん読める。
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12時10分より上映スタート。
河村光庸氏は、過去藤井直人監督『新聞記者』(シム・ウンギョン、松坂桃李主演。2019年)、森達也監督『 i (アイ)-新聞記者ドキュメント』(望月衣塑子記者主演。2019年)をプロデュースしている。
河村光庸氏は、企画の段階から中身の仕上げまでイメージして監督・出演者などを探していく、と自身で発言している。
内容が内容だけに、依頼しても断られることのほうが多い(とも舞台挨拶で答えている)。
現総理(権力者)の実像、リーダーとしての資質を、笑い倒しながら剥いでいく。
「日本でもこんな反骨の映画がつくられた!」
『新聞記者』を見たときのおどろきを、今回も感じた。
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タイトルの「パンケーキ」とは、もちろん「パンケーキおじさん」からとられている。支持率高かったころの菅総理の代名詞だ。
「親しみやすい苦労人の総理」というイメージがつくられた当初、若者たちの支持率が80%くらいあったというからすごい(いや、なさけない!)。
政治家では、村上誠一郎議員(自民)、石破茂議員(自民)、江田憲司議員(立憲民主)などが菅総理について語る。
名前はあかしていないが、たくさんの議員にインタビューをお願いして、断られたそうだ。
現職の総理大臣(権力者)を題材に映画をつくることがどれほどむずかしいか。
村上誠一郎議員は、本音で党内を批判できる希少な自民党議員。選挙に強いからか、官邸のご機嫌伺いをやっていない。だから役職にはつけないが(笑)。
リベラル系のネット番組でも、ときどき出演しているのを見ることがある。
村上誠一郎議員は、自民党がなぜダメになったか、忖度することなく話してくれる。
他に、「報道ステーション」で「I am not ABE」というプラカードをかかげて番組を降板した古賀茂明氏。
読売新聞に、新宿の風俗店へ通っていると三流週刊誌以下のゴシップ記事を書かれた(しかも第一面に)前川喜平氏も、出ている。
映画上映後の舞台挨拶で(YouTubeで見た)、前川喜平氏は、この記事を書かせたのは、たぶん菅官房長官(当時)だろう、といっている。
街頭で、「国会パブリックビューイング」を実践している上西充子さん(法政大学の先生。加藤勝信現官房長官の言い換え答弁を「ごはん論法」という名前をつけて広めた)、も出ている。
NHKなどのニュース番組は、国会中継を編集して流すので、答弁にあたふたしている総理や大臣の様子は映さない。いかに心ない言い逃れを繰り返しているかも、テレビにはほとんど映らない。
上西充子さんの「国会パブリックビューイング」は、あるひとつの問題をノーカットで大画面に映し、総理や大臣の答弁の様子を修正することなく見てもらう試み。
上西さんの解説にくわえ、そのとき国会の質問者だった議員がゲストで登場し、質問の意図など、わかりやすく説明する。
映画では、小池晃議員(共産)の質問に、菅総理が返答できず、うしろにいる官僚が答弁をその場で必死に書いているようすが映される。その即席答弁書ができるのを待って、やっとマイクに向かう菅総理のようすは、とても国のトップ・リーダーとはおもえない。
娯楽性にも配慮している。
国会でウソを118回ついた安倍は、地獄で舌をぬかれている(アニメ・シーン)。
アニメで次のようなシーンがある。
従順な羊たちが登場する。
人間は家のなか、暖炉をかこんで湯気のたつ夕飯を食べている。しかし、外は木枯らしが吹いている。
羊たちは、おとなしく食料がもらえるのを待っている。そのあいだに、一匹一匹と羊が倒れていく。
家のドアがあいて、人間が「おまえたちにもあたたかい小屋をたててやるからな」というが、そのままドアをしめてしまう。
一匹一匹と羊が倒れていく。
羊たちは、とっても優しい顔をしている。
雪が降りはじめ、さらに冷え込む。
また、羊たちが、一匹一匹と倒れていく。
羊たちは、このまま沈黙して全滅するのか?
が、急変する。生き残った羊たちの目が憤怒で赤く燃える。
食事している人間たちは、ドサッドサッと地面を踏みながら迫ってくる外の足音に怯える‥‥。
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国家権力の言動に疑問をもたず、言いなりになっていては何も変わらない。みんなで怒り、声をあげなければ何も変わらない。
このアニメは、そうわたしたちに訴えている。
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座席は混んでいた。おそらく菅政権に不満や怒りを覚えている人たちがたくさん見にきているのだ、とおもう。
しかし、、、
この映画をつくったひとたちがほんとに見てもらいたいのは、菅政権の支持者や、票を捨てている50%の無関心層ではないか。
見せたいひとは、なかなか足を運ばない。
世の中を変えるのは、ホントむずかしい、映画を見たあと、そうおもった。