『返校 言葉が消えた日』の1シーン。
『返校 言葉が消えた日』の1シーン。
8月23日、(月)。朝雷雨あり。
「TOHOシネマズシャンテ」へ、ジョン・スー監督の『返校 言葉が消えた日』を見にいく。池袋から有楽町線にのって、有楽町駅で下車。日比谷へ歩く。
映画館近くの「ドトール」によって、上映時間までコーヒーを飲みながら、佐藤章著『職業政治家 小沢一郎』を読む。
わたしのなかに長いあいだあった、小沢一郎に対する悪いイメージは、なんだったのだろう。自由党の共同代表の定例記者会見(もうひとりは山本太郎)での発言を聞くうちに、小沢氏へのわたしの印象は変わっていった。
メディア操作なのか、自分の偏見だったのか。いまはよっぽど枝野幸男より有能な政治家だとおもうようになった。
枝野が自分に固執せず、選挙の職人・小沢一郎を参謀として活用したらいいのに、とおもわずにいられない。この本は、一般に流布している小沢一郎のイメージを訂正してくれる。
★
11時20分より、台湾映画『返校 言葉が消えた日』はじまる。
2017年に発売された台湾の大ヒットホラーゲーム「返校」を実写映画化。国民党政権下の白色テロ時代を題材に描いたダークミステリーで、第56回金馬奨で最優秀新人監督賞など5部門を受賞した。
1962年、台湾では中国国民党による独裁政権のもと、市民に相互監視と密告が強制されていた。ある日、翠華高校の女子生徒ファンが放課後の教室で眠りから目を覚ますと、周囲から人の気配が消えていた。誰もいない校内をさまよう彼女は、政府によって禁じられた本を読む読書会メンバーで、密かにファンを慕う男子生徒ウェイに遭遇。一緒に学校からの脱出を図るが、どうしても外に出ることができない。
やがて2人は、学校で起きた政府による迫害事件と、その原因をつくった密告者の悲しい真相にたどり着く。
(「映画.com」より。読みやすいように改行しています)
https://eiga.com/movie/94219/
★
背景になっている「白色テロ時代」を理解していないとわかりにくいので、Wikipediaで調べてみた。
政府による相互監視と密告は、独裁政治にはついてまわる。日本でも、ドイツでも、これに似た怖しい時代があった。「反政府=悪」という考え方。この映画には、こういう時代が背景になっている。
ただ日本とちがうのは、その後、台湾政府が正式に謝罪していること。ドイツもナチスの戦争犯罪人を自分たちの裁判で裁いた。
戒厳令が解除された後、台湾政府は正式に謝罪し、犠牲者に対する補償のための財団を設立した。(略)また、二・二八事件やその後の白色テロ時代を描写した芸術作品も数多く発表されている。
しかし、日本は歴史を修正し、過去の「日本をとりもどす」(いつの時代?)という首相が、長期政権を治めていた。
★
ホラー映画と政治的暗黒時代の恐怖がいっしょになっているので、怖かった。
学校で朝礼のようなことをやっているとき、2階の廊下を、軍人たちに警棒で殴打されながら「反政府者」がどこかへ連れていかれようとしている。
そんなところから映画ははじまる。不穏な空気。
学校の、きちんと整列した朝礼や行進が嫌いだったわたしには、このはじまりからして、怖い。
少女・ファンがうたた寝から覚めたとき、学校は廃校のように寂れている。外へ出ようとしてみるが校門の前を濁流が流れていて、抜けでることができない。
少女は、学校=悪夢のなかをさまよう。
学校の地下では、禁じられている本の読書会がおこなわれ、そこにはファンが憧れているチャン先生ややさしいイン先生もいる。
まもなくこの読書会も、誰かの密告で政府の手が及んでくる。
次々とおこわれていく処刑。かなり怖い。仲間の誰が密告したのか?
★
「この映画のもとになっているのが、台湾の大ヒットホラーゲーム「返校」だというけれど、一体どんなゲームなんだろう?」
そんなことを思いながら明るい外へ出て、ほっとする。