7月16日(土)。
妻がバズ・ラーマン監督の『エルヴィス』を見たいというので、わたしも、もう一度「ウニクス南古谷」へ見にいってきました。
(以前見たのは7月4日、「イオンシネマ板橋」)
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「キング・オブ・ロックンロール」と称されるエルビス・プレスリーの人生を、「ムーラ」「華麗なるギャツビー」のバズ・ラーマン監督のメガホンで映画化。スターとして人気絶頂のなか若くして謎の死を遂げたプレスリーの物語を、「監獄ロック」など誰もが一度は耳にしたことのある名曲の数々にのせて描いていく。
(「映画.com」から)
音楽映画は、音楽がよければ2度見てもよほど内容がひどくなければ、たのしく見られる。
くわえて『エルヴィス』は、映画としてもよくできていた。
(詳しくは、つるひめさんが、ブログで感想を書かれているので、こちらを参考にしてください)
tsuruhime-beat.hatenablog.com
わたしの方は、おおまかな感想を。
オースティン・バトラーのエルヴィス、時代があとになってくるほど顔がにてくる。そして少し遠目に動きを見ていると身のこなしがエルヴィスそのもの。
つるひめさんのブログを読むまで映画のなかの歌はエルヴィス本人の歌を使っているのかとおもっていたけど、じつはオースティン・バトラーがほとんど歌っているんですね。1回目見たときは、気がつかなかった。あらためて「すごいなあ」と、おどろきました。
パーカー大佐のトム・ハンクスも太々(ふてぶて)しくてよかった。悪名高いマネージャーだけど、映画を見てもなるほど悪い。
エルヴィスは彼の手のひらのなかで動いている。身をすり減らして働いても働いても、エルヴィスは幸せから遠のいていく。
『エルヴィス』は、悲劇の映画だった。
素晴らしい音楽は永遠に残るが、彼の実人生はあまりにも寂しい。救われない(映画が事実であれば)。
ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインは、ビートルズというバンドと彼らの音楽を愛したが、パーカー大佐は、エルヴィスを最高級の商品としてしか見ていない。
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わたしがリアル・タイムでエルヴィスの映画を映画館で見たのは、『ラスベガス万歳!』(1964年)。
歌の場面以外は、興味をもてなかった。頭をさっぱりカットしたエルヴィスの好青年風な外観も刺激を感じられなかった。
その年(1964年)にはビートルズが登場する。わたしは夢中なった。わたしのなかで、エルヴィスは過去のひとになった。
エルヴィスが再び視界にはいってくるのは、ドキュメンタリー映画『エルヴィス・オン・ステージ』(1970年)。エルヴィスが音楽に復活してきた。
しかし、セレブが集まるホテルでのものものしいステージは、ロック・コンサートというよりは「ショー」だった。
同じころに見たジョージ・ハリスン主催の『バングラデッシュのコンサート』の自然さとはまるでちがって、ゴテゴテに演出されたショーだった。音楽はともかく、わたしのなかで、エルヴィスはますます過去の人になった。
そんな思い出があるけれど、わたしはいまはエルヴィスをよく聴く。
クルマのなかでよくエルヴィスをかける。
むかしは初期のロックン・ロールが好きだったけど、いまは晩年のバラードをよく聴く。
アメリカだかイギリスの音楽評論家がこんなことをいっていたのを思い出す。
「エリック・クラプトンもジミー・ペイジもみんなエルヴィスになりたかった。でも、あんなふうに歌えないからギタリストになったのだ」
亡くなったのは1977年8月16日、42歳。
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映画では出てこなかった(たぶん?)美しいバラードを2曲アップしておきます(和訳付き)。
「ブルーハワイ」。
www.youtube.com
「ワンダー・オブ・ユー」。
www.youtube.com