10月27日㈮。
「イオンシネマ板橋」へ、石井裕也監督、松岡茉優・窪田正孝主演の『愛にイナズマ』を見にいく。
早めに出て、東武練馬駅近くの「コメダ珈琲」で、コーヒーとトーストとゆで卵の朝食。石井正巳著『文豪たちの関東大震災』を読む。
関東大震災の惨状を、数字や統計ではなく、文豪たち、それぞれの個人的な体験から伝えようとするもの。
目次(とそれぞれ登場する作家名)をあげておきます。
著者は、今後もし「関東大震災」や「東北大震災」のような大地震に直面したとき、彼らは何を考え、どう行動したか、それが、わたしたち未来の体験の参考になれば、という現代の視点で書いている。
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11時40分より『愛にイナズマ』上映開始。
26歳折村花子(松岡茉優)は、映画監督志望の卵。10年会っていない自分の父・兄弟との軋轢を映画にしようと考えている。
しかし、高圧的なプロデューサー(三浦貴大)の策謀にあって、企画を盗まれ、失業してしまう。
そのとき、偶然会ったのが、奇妙な男・舘正夫(窪田正孝)。彼は人とのコミュニケーションがうまくできない。
正夫は、口を覆うと鼻がでてしまう、あの寸足らずのアベノマスクをつけて前半登場する(笑)。正夫は、安倍晋三が配布した、不用のアベノマスクをもらい集めて、活用している。
あの不評のマスクを有効利用しているのが、なんとも可笑しい。
花子と正夫は、どちらもコミュニケーションがうまくできない。会話がうまく噛み合わない。なのに、ふしぎと心が通じ合う。
頓珍漢な二人の会話が、笑わせてくれる。
映画監督への夢を奪われた花子だが、このまま降参はしない。正夫が、映画の資金に、食肉処理場のアルバイトで矯めた50万円の提供を申し出る。
低予算で家族の軋轢を描くには、実際の家族を集めて協力してもらうしかない、花子と正夫は、花子の「実家」へ向かう。
家族役も、すごい。
ドン臭い父を佐藤浩市。
兄貴風を吹かす長男を池松壮亮。
後半は、このチグハグな家族と花子、正夫がからんで、「家族」をテーマの映画がつくられていくのだが……どうなるか(笑)
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石井裕也監督の作品では、『舟を編む』(2013年公開)、『茜色に焼かれる』(2021年公開)が印象に残っている。
けれど、個人的に一番好きなのは、石橋静河・池松壮亮主演の『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017年公開)。
都会の隅っこで、非正規労働者として働く若い男女。彼や彼女が見上げる、東京の風景を描いていた。
彼と彼女、ほとんど会話もなく、一緒にいる画面も少なく、最後にちょっとだけ親しくなる予感を与えて映画は終わる。
東京の街を自転車で走る石橋静河の映像が頭に焼きついている。アルバイト先の病院の裏で、ひとりタバコを吹かす寂しそうな姿も…。
それから、現在、石井裕也監督、宮沢りえ主演の『月』が公開されている。実際に起きた障がい者殺人事件を題材にした映画。問題作なのは、わかっているし、見たい気がないわけではないけれど、題材がきつくて、見られないでいる。
*1:宮本