かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

映画2本ハシゴする(白羽弥仁監督『フィルピンパブ嬢の社会学』〜太田隆文監督『沖縄狂想曲』)。

2月27日㈫。
午前所用あり。午後3時15分より「新宿K's cinema」に、太田隆文監督の『沖縄狂想曲』の予約がしてあったので、その前に何か1本映画を見るか、いったんアパートへもどって出直すか、迷った。


が、ちょうど同じ「新宿K's cinema」で、白羽弥仁監督の『フィルピンパブ嬢の社会学』を12時40分からやっていたので、2本ハシゴすることにする。久しぶりに映画2本を連続で見た。



12時40分から白羽弥仁監督『フィルピンパブ嬢の社会学を見る。



筆者の実体験を基につづられた新書「フィリピンパブ嬢の社会学」(著:中島弘象)を映画化し、日本で働く外国人女性労働者の実態をリアルに描いたラブストーリー。


(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/97796/

www.youtube.com




元の本は、日本で働くフィルピン女性の大変さを詳しく描いているかも知れないが、映画は、ピンとこなかった。


朝早く起きたこともあって半分くらいウトウトしながら見ていたこちらが悪いんだけど。


中島翔太青年(原作の著者役)を演じた前田航基は、是枝裕和監督の『奇跡』(2011年6月公開)で、小学生役だった姿が思い浮かぶ。その後も何かで見たかもしれないが、記憶にはそれが残っている。


(映画には関係ないけど、2011年6月といえば、東北大震災の直後、『奇跡』は、あの混乱のなかで公開されたんだなあ、と思い出す)


日本で暮らすフィルピンパブ嬢の取材(翔太青年は、大学院生?)をしているうちに、その店のいちばん若いフィルピン女性と相思相愛の仲になる。翔太は、彼女が借金を背負って日本で働いていることも知りながら、結婚を決意する。


しかし、外国の女性が日本で働いている場合は、何かしら事情を抱えていることは想像できることなので、この程度の映画の理解では、話にならない(自分への戒めです)。


主演のフィルピンパブ嬢を演じた一宮レイゼルは、これが映画デビュー作らしい。逆境のなかでもヘコタレない可愛い女性を演じていた。




【『沖縄狂想曲』を見る前に】

沖縄へ行ったことがない。わたしが知る沖縄は、映画のなかだけ、頭のなかだけ、だ。


最初に見たのは、今井正監督の名作『ひめゆりの塔』(1953年)。出演が、津島恵子香川京子岡田英次、藤田進など。


年齢から計算して(わたしは4歳)、公開当時に見たわけではないが、強い衝撃を受けている。あとになって、テレビで見たのかもしれないし、リバイバル上映で見たのかもしれない。


近年では、三上智恵さんのドキュメンタリー映画で、辺野古新基地が置かれている厳しい現状、沖縄が辿った凄惨な歴史を知らされている。

三上智恵監督の作品】

  • 『標的の村』(2013年公開)
  • 『戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)』(2015年公開)
  • 『標的の島 風(かじ)かたか』(2017年公開)
  • 沖縄スパイ戦史』(2018年公開。大矢英代と共同監督)
  • 『戦雲(いくさふむ)(2024年3月16日公開。未見)


三上智恵さんは、沖縄在住の映画監督。捉える視点が近く、生々しい。


できれば、本土のひとに、一人でも多く見てほしい作品群。政府の強引なやり口は、決して沖縄だけの問題ではない。


戦争が勃発すれば、現代の射程距離では、この狭い日本。沖縄だ、本土だ、といっている場合ではない。日本全土、軍事基地を手はじめに、一斉攻撃を受けるはず。


どれもDVDになっている(はずだ。妻に見せるため、わたしも当時2枚DVDを買っている)。ただレンタルなどには置いてなさそうだ。


まもなく公開される『戦雲(いくさふむ)』は、沖縄南西諸島に、武器が集められ、アメリカ軍と自衛隊との合同軍事訓練が行われている。その状況を描いているようだが、なにせまだ未見なので…はっきりいえばわからない。


『戦雲(いくさふむ)』予告編。
www.youtube.com







午後3時15分から、『沖縄狂想曲』を見る。




「朝日のあたる家」「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」といった社会派作品を手がけてきた太田隆文監督が、辺野古基地問題国際大学ヘリコプター墜落事故、オスプレー騒音・墜落問題や、古くはコザ蜂起、由美子ちゃん事件など、沖縄が抱える数々の問題を取材。元大手新聞の論説委員、著名大学教諭、元市長、元県庁幹部ら有識者たちが、大手マスコミが報道できない現実を徹底解説する。


(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/100740/



www.youtube.com




三上作品のような至近距離から見た生々しさはない。そのかわり、わたしたちが跳び跳びでしか知らない沖縄の不条理な歴史を、ひとつひとつ整理して見ることができる。その奥で蠢く政府とアメリカの関係も。


一言でいえば、新聞やテレビが伝えない、日本政府とアメリカの密約から、捨て石にされた沖縄の戦後史を辿るドキュメンタリー映画といえばいいのか…。




インタビューの記録を詳しくここに書く根気がない。


ひとつだけ、鳩山由紀夫元総理大臣の証言をあげておこう。


鳩山由紀夫総理は、普天間基地の移設先を「最低でも県外」といい、「徳之島」(鹿児島)に想定していた。


しかし、官僚からアメリカとの極秘文書を見せられる。


それには、徳之島は「恒常的に訓練するのには遠すぎる。米軍のマニュアルにある65海里(120km)を大幅に超えている」という記載があった。
(「IWJ」記事を参照。https://iwj.co.jp/wj/open/archives/287473


鳩山由紀夫は、「徳之島」への移設を断念する。


ところが、あとから朝日新聞のスクープで、そんな「極秘文書」は存在しなかった、ということが判明する。外務官僚のウソだった。


「日米合同委員会」は、これまで1000回以上ひらかれている。しかし、現在残されている「文書」は「ペラ4枚」だけ(山本太郎の国会質疑から)。


鳩山由紀夫によれば、「日米合同委員会」の内容は、(少なくも当時)総理大臣にも知らされなかった、という。


映画では、「日米合同委員会」(ほぼ極秘)の実態について、国会で追求する山本太郎の映像が引用されている。


普天間基地の移転先は、「少なくも県外」の鳩山の思いは挫折。メディアの誘導もあって、国民は鳩山の「裏切り?」を、「宇宙人」と怒り、嘲笑した。それが引き金になって鳩山由紀夫は退陣する。


しかし、本気で普天間基地の県外移設を考えた歴代首相が他にいただろうか。彼のあとは、住民の意思を無視し、辺野古新基地の工事を強引に押しすすめる総理大臣しか出ていない。



東京での上映は、「新宿K's cinema」1館だけ。太田監督は、今回、マスコミから完全無視された、とYouTubeの「青空映画舎チャンネル」で話している。(https://www.youtube.com/watch?v=oawgXLUnQLs


マスコミの腰の引け方がなさけない。政府の横暴を監視する役割はどこへ行ったのだろう?


昨日のブログであげた森永卓郎山本太郎と同じく政府の意向にそぐわないテーマ(人物)は、きつく統制される。「表現の自由」とはほど遠い国だよな。