かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

中山康樹著「ジョン・レノンを聴け!」

ジョン・レノンを聴け! (集英社新書)
やっぱり中山康樹はおもしろい! ジョン・レノンの公式盤はもちろん、アウトテイクを収録した『ジョン・レノン・アンソロジー』まで、全曲を中山康樹独特の切り口で解説した、ジョンの聴き方の指南書でございます。

ジョン・レノンの魅力が、決して「愛と平和の人」ではないことは、明らかなことですが、オノ・ヨーコを筆頭に、根強い「聖人化」も一方にはあります。では、ジョンの魅力とはなんなのか。中山康樹氏は、明快です。

ジョンの類まれな声と天才的な歌のうまさ‥‥これに尽きると割り切ります。この潔さが1冊を通して貫かれております。

個々の曲への評価は、本を読んでもらうしかありませんが、彼は現在の、聖人に仕立てられたジョンをあっさり否定し、ひとりの天才的なシンガーとして読み解こうとしています。そして、そのねらいは成功しているとおもいます。

それにしても、「ディランを聴け」でもおどろきましたが、全曲にわたる詳細な聴き込みには、中山氏の評価に賛成か反対かはともかくとして、感心するばかりです。

そしてもう1つ、重要なことですが、本著の最高の魅力はユーモアが全編にあふれていること。中山康樹氏の本は、おもしろい!

新書版756円。