子供時代大変腕白で、自身も子供大好きで知られる清水宏監督作品。
田舎に住む善太と三平兄弟は、自然の中で楽しい夏休みを過ごしているときに、父親が警察に私文書偽造の嫌疑で連れていかれた。母親は、家計を支える為働きに出る事にするが、まだ幼く手のかかる三平を遠くの叔父さんの家に預けなければならなかった。
家族と離れた三平は、それから1週間というもの、我が家恋しさに高い柿の木に登ったり、盥(たらい)に乗って流されたり、明日は三平の町へ行くという旅の曲馬団に潜り込んだりするので、叔母さんも手を焼いて母親の許へ帰すことにした。
家財まで差し押さえられるという悲嘆のどん底にも関わらず、兄弟が明るく仲良く母親を励ましあう中で、父親の嫌疑がはれ、一家に明るい日々が甦る。
悪童だった清水監督の、子供の頃に還った様なのびのびとした雰囲気が伝わる。
★(ビデオ・カセットの解説より)
映画を見ていると、昭和12年の日本の田舎は、のびのびしていたんだなあ、とおもいます。学校から帰ると、みんな家を飛び出して、一緒に棒きれなどをもってわいわい遊ぶ。
母親が「遊んでばかりいないで、ちっとは勉強しなさい」と叱るのはいつの時代も同じ。でも、この作品の主人公・三平は、母の目が離れたとたん、外へ飛び出してしまう(笑)。
父の嫌疑のため、一家離散、叔父さんの家で苦労するが、子供らしい元気さは失わない。清水宏監督は、ただ子供たちが元気に遊びまわる様子を映画に描きたかったのでは……とそんな気がする作品。
旅の曲馬団にいる子役で、『生まれてはみたけれど』の弟役を演じた突貫小僧が、ちょいとだけですが、あのブサイクな顔を見せてくれました(笑)。
小津安二郎監督の『生まれてはみたけれど』のような社会的なメッセージはなし。父の嫌疑が晴れてしまえば、すべてメデタシメデタシ。それで十分作品はたのしい!