川越のテレビを地デジに換えたおかげで、BSも見られるようになった。
さっそく「山田洋次監督が選ぶ100本」から、清水宏監督『風の中の子供』と田坂具隆監督『乳母車』を録画しておいてもらい、週末帰宅して見た。
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清水宏監督『風の中の子供』は、見直してみて、やっぱりよかった。映画全体に詩情のようなものが漂っている。
兄弟の子供の心の動きは生きいきと出ているし、それを囲む大人・河村黎吉、吉川満子の苦しみ、坂本武の子供たちを思う善意など・・・自然に心へ響いてくる。
そして、日本の農村風景の美しさに見惚れてしまった。
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しかし、もう1本の田坂具隆監督『乳母車』は、饒舌さが鼻についた。セリフが説明的で、「愛」や「真実」などという、日常生活では消化しにくい言葉を連発する。
その原因は、石坂洋次郎の原作にあるのか、映画そのものにあるのか。
『乳母車』は、不倫という描きにくい題材を描いた、といっても、人物がウソ臭くて、本当のところで、不倫で苦しむ人間は描かれていない。結局、解決もきれいごとで終わる。
救いは、芦川いづみ。可憐で美しい。
それから、1950年代の世田谷、九品仏駅の風景や町並みを見られたのは、よかったが・・・。