かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

トッド・フィールド監督『リトル・チルドレン』(2006年)


リトル・チルドレン [DVD]

郊外の街で、経済的になに不自由なく生活しながらも、漠然とした孤独感、過去の失敗、愛するものを亡くした喪失感に迷走する<大人になれない大人>たちの姿を描いた、ベストセラー小説の原作者自らシナリオ化した話題作!!


(「ギンレイ通信」vol.104から)


うってかわって、こちらはおもしろかった。


目が離せない。登場人物が全員どこか病んでいる。最初に、むかし少女にワイセツ行為をした男が刑期を終えて出てくるので、住民がみな怖れている。実際俳優の顔も怖い。そこへサスペンスが集中する。


しかし、映画がすすんでくると、登場している全員がおかしいのだ。登場人物は、ワイセツ男以外、誰も自分で自分がおかしいとはおもっていない、それを知っているのは観客だけだ。そのサジ加減がうまい。


サスペンス映画の怖さを発散しながら、それを売り物にもしていない。この感触はいいな、とおもう。見終わると、<大人になれない大人>たちに、監督の眼は意外にあたたかい。


満足して、映画館を出た。