亀五郎を船長とする小さな荷役船「海神丸」は、2日分の食糧を積んで出発したが、竜巻に襲われて、遭難する。
20日が過ぎ、30日が過ぎる。助かるあても、望みも見出せない。
水は、幸運にも雨で補給できたが、食糧はやがて底を尽き、4人の<生>を賭けた確執がはじまる……。
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極限状況に置かれた<人間>は、何を考え、どう行動するか、を問いかけた作品。小さな船の中だけのドラマなので、シンプルにテーマが追及される。
主演は<どうもどうものタイちゃん>(新藤兼人の言葉から)こと、殿山泰司。新藤兼人が、脇役のときは、タイちゃんの自然流演技が生きるが、主演になると、大きな演技ができないので、ちょっとものたりない、というようなことを本で書いています。
しかし、この映画、特に佐藤慶と乙羽信子がエゴを剥き出しにした激しい、<大きな演技>を見せる。それを受けるのが、極限下でも、良心を保とうとする船長の殿山泰司。殿山泰司の自然流を逸脱しない、少し小さめな演技は、ぼくはバランスがとれている、とおもいました。