かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

クラプトンが来日すると集まる仲間たち

2月28日17時15分、京成「町屋」駅で、Y君、Tちゃん、N君と会う。まずは最初に、駅前の居酒屋で乾杯!


18時から京成「千住大橋」駅の「ときわ」に予約をとってあるので、1杯飲んですぐに移動する。


「ときわ」で飲んでいると、仕事をおえてきたM君(通称トミ坊)が来る。これで今日のメンバー5人がそろった。


Tちゃん、Y君、N君、トミ坊は、昨日(2月27日)の武道館エリック・クラプトン公演を見にいっている。


Y君は、さらに2月21日のさいたまスーパー・アリーナの、エリック・クラプトンジェフ・ベックの共演ライブを見ている。ぼくも、2月22日、同じく、さいたまスーパー・アリーナの共演ライブを見ている。


それぞれの公演のセットリストの違いなどを話す。


Tちゃん、Y君、N君は、ぼくが30年くらい前に勤めていた本屋さんのアルバイト学生たちだ。


大学の地下街にあったその本屋さんは、新学期になると教科書販売で忙しくなる。それで、短期アルバイトの学生を10人〜15人くらい募集する。そのなかにTちゃん、Y君、N君(彼の場合は、年度がずれているが説明が煩雑なので省略)がいた。


特にTちゃんとY君は、その短期アルバイトの時期が過ぎてもそのまま残った。二人が本屋で働いているので、彼らの仲間の4、5人が、講義がおわると、ぶらっと本屋に集まってくる。


その本屋の真向かいにある洋服屋さんにアルバイトできていたのがトミ坊で、年下のトミ坊も、TちゃんやY君の仲間になった。


学校やアルバイトが終わると、飯田橋、市ヶ谷、時には新宿まで足をのばして飲みにいく。ぼくは結婚してまもなかったが、3回に1回くらいは、彼らに付き合った。


飲むとみんな別れたくなくなり、どこかしらに連れ立って泊まる。それが彼らの中野や高円寺のアパートであったり、埼玉県蕨市のぼくの狭いマンションであったりした。


あれから30年が経っている。


大学を卒業すると、Tちゃんは山口県へ、Y君は栃木県へ帰って、公務員になった。


トミ坊は、家は京成「堀切菖蒲園」駅の近くで、一級建築士の資格をとってそこで仕事をはじめた。


ぼくもその本屋をやめて久しい。


それぞれバラバラになってしまった、とおもったが、少し違った。


あの頃、本屋も洋服屋も店内ではロックを流していた。店内ミュージックにしては大きめに、いつもロックが流れていた。


そして、当時彼らとぼくの共通の好きなミュージシャンが、エリック・クラプトンだった。


それ以来、エリック・クラプトンが来日すると山口県からTちゃんが、栃木県からY君が、やってくる。トミ坊やぼくは、その連絡を受けると、彼らと合流するための1日をつくる。


今回はそれにN君が加わった。



トミ坊が「beatleさんの奥さんに一番最近あったのは、いつかなあ」という。
ジョージとクラプトンが一緒に来日したときじゃないかな。それなら、1991年だ」とぼく。
「あのときは、みんなでbeatleさんの家へ泊めてもらいましたね」と、Y君がいう。
Tちゃんが、「じつはね、beatleさんの奥さんにも電話して、今日こちらへ来ませんか、って誘ったんだけど、何か用があるみたいで……」という。



「Tさんのきれいな奥さんは元気ですか」とトミ坊。
「元気過ぎるくらい元気(笑)」と<多情仏心>のTちゃんがいう。


Tちゃんは、恋多きひとで、学生時代恋人が次々いれかわった。ただプレイ・ボーイと違うのは、最後はいつもTちゃんがふられていた(笑)。


「よく1回1回ああも本気で惚れるよなあ」とぼく。Tちゃんは、反論しないで笑っている。


結婚までのいきさつもTちゃんらしい。


山口県のTちゃんの家に、女性の見合い写真が届いていた。両親が他のひとに紹介するためで、Tちゃんのではない。しかし、Tちゃんはその写真を見て、ひと目惚れしてしまった。


「このひとと結婚したい」とさわいで、一転その女性の見合いの相手はTちゃんになり、そのまま結婚してしまった(笑)。


新婚旅行のお披露目で上京してきたとき、川越のぼくの家に二人で一泊したが、その<ひと目惚れの美人>は早くも妊娠していた。疲れやすいのか、Tちゃんとぼくが昼間からお酒を飲んでいるときも、たいてい奥で昼寝をしていた。



「Yさんの奥さんは?」とトミ坊。
「一緒にクラプトンとベックのコンサートを見たよ」


Y君は、仕事の同僚と結婚した。3人の子供がいる。栃木県の結婚式には、Tちゃんやトミ坊と一緒に、ぼくは夫婦で参列した。


めんどうな連絡係りと幹事は、Y君がいつも受けもってくれる。今日も、焼酎の水割りをつくってくれて、鍋のものを皿にとってくれるのはY君だ。ぼくらは、いつもY君の厚意に甘えていた。


「みんな奥さんと仲良くていいですね」とトミ坊。



「おれ、N君が奥さんとはじめて会ったとき、立ち会っているんだよ」とぼく。
「そうでしたね」とN君。
「Sさんの石神井公園のアパートだった。Sさんの奥さん(当時は恋人)が、ロッド・スチュアートの大ファンだという友達を連れてきた。吉田拓郎が好きなN君と全然話が弾んでなかったけど、それからすぐに結婚したんだから、縁はふしぎだよなあ。だからトミ坊、まだあきらめなくていいよ」
「ほっといてください」とトミ坊。


トミ坊だけが、いまも独身だった。


そのトミ坊のアルバイト時代の大失恋が話題にあがる。女性の前で異常に緊張してしまうトミ坊の性格の弱さ……それが、みんなはがゆかった。トミ坊は、その時の失恋がトラウマになっているのか、結婚願望があるのに、それが適う気配がない。


ついつい話の肴がトミ坊に集中する。



18時から飲み始めて、23時の閉店まで、飲んでいた。飲んだのはビール1杯ずつと焼酎のボトル3本。


京成「千住大橋」駅からトミ坊のマンションのある京成「堀切菖蒲園」駅へいく。駅前で何かつまみのようなものを買い込む。


駅から15分。道がくねくね曲がるので、よくわからなかったが、以前散歩で来たことのある堀切菖蒲園に近かった。


「こんな立派なマンションがあるのに、なんで奥さんがみつからないかなあ」とTちゃんが、またぶりっかえして、みんなが笑う。


独身者には立派過ぎるトミ坊のマンション(本人の設計だという)で、朝の4時頃、クタクタになるまで飲んで、笑った。