先日久しぶりに熊谷へ帰ってお酒を飲んでいたら、弟夫婦、ヤマモトさんの3人がこの映画の話で盛り上がっていました。三人三様に少しずつ見方は違うようですが、それぞれ強い感銘を受けたようで、これは見なければならんと・・・
翌日いってきました。
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主人公は、朝鮮戦争で人を殺した生々しい体験を、その感触を忘れることができない老人(クリント・イーストウッド)。
彼は、自分も含めて、世の中すべてを憎悪している。
頑迷な人種差別者だが、ブラックもイエローも嫌い、さらに、鼻にピアスをつけた自分の孫もいらだたしくて我慢ならない。
彼は50年間フォード社の工員として働いてきたが、いま息子はトヨタのセールスマンをやっている。ジャップの会社で働く子供たちも嫌いだ。
これだけ憎悪がすべてに向けられると、そこに一種の公平性が生まれるのがおもしろいですね。
この老人は目前で若者たちが卑劣な暴力をふるうのを見逃せない正義感をもっている。それを正義感といっていいのかわからないが、とにかく黙って見過ごすことはできない。
暴力には暴力を・・・平気で相手に銃口を向ける。
この主人公のキャラクターが強烈だ。
イーストウッドは、勇猛さを単純に賛美しているわけではないし、人種差別に異を唱えた映画でもない。
上映されてまもないので、詳細には触れません。
単純な正義観でつくられた作品がおおいアメリカ映画のなかで、クリント・イーストウッドの映画は屈折し、異彩をはなっているような気がしました。