開催は5回目ということですが、わたしが参加したのは、3回目、4回目、5回目で、3回にわたって、ビートルズについて、改めていい勉強をさせてもらいました。
しかし、わたしがもっとも感銘を受けたのは、主催者JUN LEMONさんのビートルズへの深い愛情でした。ビートルズでお金を稼ぐひとたちもたくさんいるが、JUN LEMONさんは違う。無償の愛情、といってもいい。
JUN LEMONさんには、ビートルズ伝道師の趣がある。
★
今回<ビートルズ講座>のテーマは、一般に流布しているビートルズの和訳の誤訳についてだったが、わたしはそのへんはよくわからない。A講師の説明を聞いて、ビートルズへの見方が一部変わった、ということもない。
むしろ、わたしにはJUN LEMONさんのコレクションに目を見張った。あのころ一度はわたしも買い、見て、読んで、そのまま紛失してしまった雑誌が、きれいに保存されている。
JUN LEMONさんは、リアル世代ではないから、当時買い集めたものではない。ネット・オークションなどで、近年買い集めたものだという。しかし、徹底している。
「手にとってもいいですよ」といってくれたので、雑誌をひらいて、懐かしい記事を読む。いろいろなことが思い出された。そこには、10代のわたしが感動したり、よろこんだり、怒ったりした、古い記憶がつまっていた。
★
JUN LEMONさんは、70年代にビートルズを知った世代だが、ビートルズの現役時代を知るわたしなどより、よほどいろいろなことを知っている。
JUN LEMONさんに限らず、あとからやってきた世代は、ビートルズのことをよく研究している。びっくりするほど細かなことを知っている。
しかし、60年代のあの熱気は、知識から出たものではなかった。90%の女性と10%の男性で構成されたあのころのファンは、知識ではなく、感性を全開にしてビートルズに心をひらいた。
けれど、60年代、日本の社会にはビートルズを受容する土壌がなく、反感ばかりが膨れ上がって、ビートルズ・ファンは、メディアの前で、言葉上の袋叩きにあった。
そのくやしさは、いまでも忘れがたい。ビートルズとビートルズ・ファンを罵倒した<文化人>のひとりひとりの顔を、わたしは憶えている。
ビートルズが社会に受容されてからファンになったひとたちには、一番わかりにくい感覚かもしれない。
JUN LEMONさんの懐かしいコレクションを見ながら、そんなことをぼんやり考えた。
★
帰り、「ビートルズ探険隊」からの参加者といっしょに、池袋で飲む。いつものことだけれど、ビートルズのことを話していると、酒との相乗効果で、熱くなってしまう(笑)。