かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ビートルズの「レット・イット・ビー」

レット・イット・ビー

レット・イット・ビー




映画『レット・イット・ビー』を有楽町のスバル座で見たのは、1970年。


何度かスバル座へ見にいった。ビートルズの終焉などとは考えたくもなかったし、はっきり解散が宣言されたわけでもなかった。


大学の仲間と深夜の出発で旅行へいくときも、ひとりだけ早く出て、集合時間までスバル座で『レット・イット・ビー』を見ていた。このときも、2度続けてみた。


『ヤア!ヤア!ヤア!』や『HELP!』のように劇映画ではなく、ビートルズのスタジオ・リハーサルのシーンを撮影しているので、荒削りで完成していない演奏が、生々しかった。


1966年の日本公演がおわってから、プロモ映像以外、ほとんど姿をみせなくなったビートルズの、スタジオで演奏するシーンを見るのは、ドキドキするような興奮だった。



タイトル曲「レット・イット・ビー」は、悩めるおとこの前に、聖母マリアがあらわれ、「Let It Be」なる、尊いお言葉を語られた、とポールが歌う。


ぼくはこの「Let It Be」をどういう意味に解釈すればよいのか、いまでもよくわからない。これを「あるがままに」とか「なすがままに」と訳すと、現状肯定の歌になってしまう。


しかし、ポールは「カンボジア難民救済コンサート」ではじめてライブ演奏し、その後も「ライブエイド」など、チャリティ・コンサートの最後で、これを歌った。


悲惨な現地へのメッセージとしては、「あるがままに」は、そぐわないようにもおもえるのだが、どう受けとめたらいいのだろう?


しかし、それはともかく、映画で見る髭もじゃのポールの憂いを含んだ表情は、たまらなく魅力的だった。