かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

フランソワ・オゾン監督「ふたりの5つの分かれ路 5×2」

ふたりの5つの分かれ路 [DVD]
すでにringoさんがこちらへ感想を書かれているので、ストーリーなどのめんどうなことは、譲ります(笑)。

夫婦なんて離婚してしまえば「他人」。映画は、今まさに、その「他人の関係」になろうとしている男女の話です。しかし、男と女って、いまはお互いにうんざりしていても、きっとむかしは甘くて幸福な時代があったわけですよね。

では、離婚を決意した1組の夫婦の、出会いから離婚までを、フィルムを逆に戻すようにさかのぼってみたら、、、というのがこの作品です。

いまは冷え切ってしまった男女も、その出会いは美しい。

映画のエンディングは、海辺で知り合ったばかりの二人が意気投合し、美しい夕日に向かって泳いでいきます。最高のハッピー・エンドを予感させるシーンです。

ただ、映画はラスト・シーンですが、これは二人の幸福な出会いであると同時に、別れのためのはじまりでもあることを、映画の観客は知っています。

ピリっとした味付けの、おもしろい映画でした。