3月5日土曜日、休日。
塙幸成監督『死にゆく妻との旅路』を見にいこうとおもって検索したら、東京では有楽町の「ヒューマントラストシネマ有楽町」の1館しかやっていない。
さらに埼玉を検索したら、上映している映画館がひとつもない。これにはおどろいた。それほどマイナーな映画なのだろうか。
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東武練馬のサティにある映画館で、午前10時25分からトム・フーパー監督『英国王のスピーチ』を見る。先日ラジオでこの映画について話しているのを聴いたら、見たくなった。
「舞台劇のような脚本」とラジオで説明していたが、その通りで、ジョージ6世とその妻、彼の吃音を救おうとするスピーチ矯正の専門家・・・この3人のやりとりが手厚く描かれる。見ごたえがあった。
アメリカ映画らしくないので解説をみると、イギリス=オーストラリア制作、となっているのでなっとくする。
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上野へ出て、立呑み「たきおか」で、酎ハイを3杯。次の『死にゆく妻との旅路』の上映時間が午後3時50分だったので、酔い覚ましに上野公園を散歩する。
先日、柳家小さんの『長屋の仇討ち』を聴いていたら、上野の清水へ集まろう、というような話が出てきたので、その清水観音堂へいってみる。京都の清水寺を模して張り出した舞台から、下に見える不忍池を眺めた。
公園のなかの大道芸を眺めながら歩いていると、上野の森美術館で「大調和展」をやっていたので、寄る。
武者小路実篤にゆかりのある美術展のようだったが、実篤の絵は数枚だけで、ほかはいろいろな人が出品している。油絵、日本画、いろいろな流儀の作品が並んでいて、おもしろかった。
後ろに映画の時間が迫ってなければ、もう少しゆっくり時間をかけたかったが、予定になかったことなので、大急ぎに見て、出る。
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ヒューマントラストシネマ有楽町は、外に映画のポスターや案内の看板もなく、わかりにくい。有楽町の駅周辺を探し回ってしまった。
チケットを買ってはいったときは、予告編がはじまっていた。
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『死にゆく妻との旅路』は、工場経営を失敗して4千万円の借金を背負った男が、末期癌の妻と272日間・6000キロの旅に出る、という話。
石川、冨山、鳥取、兵庫、静岡、山梨などをクルマで旅する。夜はクルマのなかで過ごし、海で捕った魚などを調理して、自炊する。
三浦友和がだんだんむさ苦しくなっていく。髪も髭ものびる。しかし、石田ゆり子はやつれて化粧がとれてしまっても、美しい。
物語は、淡々とすすむ。スジが見えているし、作りようによっては、センチメンタルな内容になりかねない。でも、それを三浦友和の厚みのある演技が救っていた。先のみえない苦しい生活感が出ている。
出演作品を見るたびに、三浦友和が好きになるけど、この作品でそれがまた強まった。
有楽町まで見にきてよかった、とおもう。しかし、これがなぜ東京で1館しかやってないのだろう?
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以前、バットカンパニーのライブを見る前に寄った居酒屋が、有楽町の高架下にある。店はすごく狭い。しかし、午後7時までは、タイムサービスで酎ハイが1杯150円で飲める。
入口に近いテーブルからガラス越しに、駅周辺の人の流れがみえる。すっかり夜になっていた。
焼き鳥をつまみに酎ハイを3杯飲んでから、有楽町線で、1週間ぶりの川越へ向った。