かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ジョン・キャメロン・ミッチェル監督『ラビット・ホール』(2011年)


ラビット・ホール [DVD]

ラビット・ホール [DVD]



愛するものを失った悲しみ。それが愛する自分の子だったら、その喪失感は限りなく大きいだろう。本作はそんな夫婦の物語。“ラビット・ホール(ウサギの穴)”とは、「不思議の国のアリス」でウサギを追いかけてアリスが落ちた穴の事。


不思議の国に迷い込んでしまったアリスのように、子どもの死をきっかけに今までとは別な世界に迷い込んでしまったというたとえだろう。この夫婦が悲しみと寄り添いながらも生きていく決意をするまでを丁寧に、そして繊細に描いた作品だ。


原作はピュリツァー賞を受賞した戯曲。キッドマンは本作の演技により、2011年アカデミー賞主演女優賞にノミネート。監督は『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル


(「goo映画」の「あらすじ・解説」より


DVDをレンタルして見る。


ひさしぶりにニコール・キッドマンの主演映画を見た。静かに、繊細に、息子を交通事故で失った母親の悲しみを演じている。


ストーリーにはいっさい飛躍がない。悲しみが癒えるような何かが起こる、というようなこともない。この作品は、それがいい、とおもう。


ニコール・キッドマンは、あいかわらず美しい。美しい表情は、ほとんど悲しみのなかにいて、いくつかのシーンで見せる笑顔も、切ない。


レンタル店には、あまり目立たない「ミニ・シアター・コーナー」に置いてあったので、それほど評判にならなかったのだろうか、とおもっていたら、ニコール・キッドマンは、アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたというのだから、わたしがただ知らなかっただけのことかもしれない。


DVDの映画鑑賞は、どこか集注しきれない。もっと早く気がついて、映画館でじっくり見たかった。