かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

伊藤野枝に関連するもうひとりの女性〜『神近市子自伝』を読む。

 

神近市子女史。

 

12月10日㈫。晴れ。
仕事へいくSさんに、川越駅までクルマで送ってもらう。そこから駅周辺を散歩した。


比較的席がとりやすい喫茶店に寄る。

 

雑談より、ひとりでノートや本を広げているひとの多いところなので、散歩にくると、コーヒーを飲みながら1時間くらい読書することが多い、


この日は、図書館から借りた『神近市子自伝』を読む。


神近市子は、戦後、社会党衆議院議員を5期つとめ、「売春防止法」の制定などに尽力されたとある(「ウィキペディア」参照)。


わたしがこの本を手にとったのは、伊藤野枝大杉栄、大杉の妻・保子との四角関係に登場するひとりとして興味があったから。


伊藤野枝大杉栄→神近市子という関心の流れ。


「日蔭茶屋事件」(といわれている)では、大杉栄のウソや野枝への嫉妬などが入り乱れ、神近市子は、大杉の喉を短刀で刺す⋯⋯という殺人未遂事件を起こす。


すぐに自首し、懲役2年の実刑を受けている。

 


神近市子は、「東京日日新聞毎日新聞)」の、当時はまだ珍しい女性記者だった。


「津田女子英学塾(後の津田塾大学)」で学び、英語に堪能であった。外国の要人にも取材し、男性記者にまじって活躍されていたという。


取材で知りあった大杉栄と恋愛関係になる。


無政府主義者」で生活が不安定な大杉を、神近が援助していたともいわれている。


が、大杉のいう「自由恋愛」の果てに、殺人未遂を犯すことになった。


2年の刑期を終えたあとも、翻訳家として忙しく、表舞台には立たなかったものの、「無政府主義者たち」(大杉栄伊藤野枝憲兵隊に虐殺されてしまった)に、住居(の一部を提供する)や金銭的な支援をしていたようすが書かれている。


わかりやすい文章で、中身も整理されて、読みやすい。


戦後、時間が経ってから書かれているので、「日蔭茶屋事件」もドギツイ描写ではなく読めた。


茶店に2時間くらいいて、外へ出る。



わたしの行く図書館は、この日火曜日は休館。


家へ帰りながら、途中「熊野神社」のベンチで続きを読んだが、あとちょっとで終わらず、結局自宅へもどってから読み終えた。

 

1週間前の「熊野神社」。

 

1週間前の「熊野神社」(反対方向から)。