10月27日(火)、晴れ。
11時45分から「イオンシネマ板橋」で、河瀬直美監督、永作博美、井浦新主演の『朝が来る』を見る。
永作博美が主演ではずれた映画の記憶がない。
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以前この映画の原作、辻村深月著『朝が来る』を読んだことがある。すごくおもしろかった記憶はあるけれど、だいぶ時間が経っているので、細部を忘れている。
ブログを検索したら、簡単に感想が記録してあった。
読んだのは5年前(2015年9月)。そこでこんなふうに書いている。
不妊治療や養子縁組のことなど、扱われているテーマは硬いのに、ストーリーの展開はワクワクさせるし、登場人物たちが興味を惹きつける。中学生の若さで子どもを産んでしまった女の子と、不妊治療しても子どもが生まれない夫婦の間が、どう展開していくのか、早く先を読みたい。面白い本と出会うと、読書の楽しみは、また格別。
原作を読んだときの感動が、映画でまたよみがえってきた。劇的なシーンでも、演技は抑制されていて、全編に緊張感のある傑作だった。
永作博美は、惚れ惚れするほど絶妙な演技をみせる。
以前見た傑作映画・成島出監督『八日目の蝉』(2011年)でもそうだったけれど、この女優は悲しいときに笑う。とてもつらいときに笑う。このふしぎな笑顔にわたしは泣かされてしまう。こんな複雑な心情を視覚化できる女優ってなかなか思いつかない。
無口で静かな夫を演じた井浦新もよかった。このひとは黙っていながら感情表現をできる俳優。
それと、好きな同級生の子を孕ってしまう女子中学生を演じた蒔田彩珠(まきた・あじゅ)も、強い印象が残った。
若い女優が、永作や井浦のようなベテランと対峙して負けていなかった。
木々や風のような自然を映して、人物の葛藤のなかに挟むのは、河瀬直美監督の心象風景を描く技法だけれど、それが作品によってはハナにつくこともある。この作品では不自然を感じなかった。
『朝が来る』は、河瀬直美監督の新しい代表作になりそうな気がする。
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帰り、「日高屋」で遅いお昼。ホッピーと生ビールを飲みながら、タブレットで『喜劇 愛妻物語』(足立岬)を読む。
原作者と映画化した監督は、同一人物。映画よりも、下(しも)がかった描写が多い。コメディだからといって、あまり下がかかったネタをいれるのは好きでない。
小説も映画も怖い奥さんだけれど、映画はその役が水川あさみだったので、少し中和されて、わたしにはちょうどよかった。