
11月17日の朝、ネットを見ていたら「共同通信」で、こんなニュースが出ていた。
共同通信世論調査で、高市首相の防衛力強化に向けた防衛費の増額方針に「賛成」との回答は60.4に上った。「反対」は34.7%だった。(「共同通信2025年11月16日16時08分)
世の中の人は「防衛費増税」に賛成多数なんだよ──わたしには、そういう記事に見えてしまう。
「安全保障の厳しさが増す今日(定型文)──防衛費増税はやむを得ないのだ」という支配層(とその奴隷政党)への応援か。
「防衛費」という名の「軍事費拡大」はさらに増加し、国民の生活に必要な介護・医療・保育・教育などへの支援は「財源がない」と後回しにされていく──これぞ軍国主義国家へたどる道。
騙される国民にも問題がある──自分で自分の首を絞めている。何しろ高市政権の支持率80%なのだから。メディアにあやつられる側にも責任がある。
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(2日前のこと──)
11月15日土曜日。
「ポレポレ東中野」へSさん同行で、込山正徳監督のドキュメンタリー映画『はだしのゲンはまだ怒っている』を見にいく。
(川越駅発→東武東上線→池袋乗換え→JR山手線→新宿乗り換え→JR総武線→東中野駅着)
2時間15分くらい前に家を出たので、50分早く「ポレポレ東中野」へ着いた。
1階のコーヒーショップで時間調整。垣根涼介の『信長の原理上下』(Kindle版の合本)を読む。進行30%。
Sさんは東中野の商店街をぶらぶら歩いてくる、といって出かけ、上映20分くらい前にもどってきた。
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【予告編】
【解説】
漫画家・中沢啓治が自身の被爆体験をもとに描き、反戦・反核を訴える漫画として読み継がれてきた「はだしのゲン」を題材に取り上げたドキュメンタリー。
原爆で被爆した主人公の少年ゲンが、家族を失い、貧困や偏見に苦しみながらも力強く生き抜く姿を描いた「はだしのゲン」。「週刊少年ジャンプ」での連載が始まった1973年から半世紀、25カ国で翻訳出版され世界中で読まれ続けてきたが、近年は「描写が過激」「間違った歴史認識を植え付ける」と学校図書館での閲覧制限を求める声が上がったり、広島市の平和教材から消えたりするなど、大きな議論を呼んでいる。
(「映画.com」より)
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『はだしのゲン』が図書館の開架式書棚から閉架式へ移動されることになった、と聞いたときおどろいた。2013年、安倍政権のときだ。市民からの抗議もあって、今は自治体の判断に委ねられているようだが⋯⋯。
また2023年、広島の小学3年生向け平和教材から『はだしのゲン』が削除された。
削除の理由は「被爆の実相に迫りにくい」からだと──しかし、被爆者の多くは、中沢啓治氏は自分の被爆体験をもとに真実を描いている、という。
(映画を1回見ただけでは、どれが誰の発言だったか特定できないので、発言者や言葉のニュアンスが違っていたらすみません)
渡辺久仁子さんは、中沢啓治氏について、見た光景を写真機のように一瞬で記憶に捉えてしまう才能をもっていた──と発言している。
これは興味深い。話はそれるが、阿川弘之氏が「志賀(直哉)先生は見た情景を写真のように一瞬で頭に焼け付けてしまう才能があった。ゲーテもそうだと聞いている」と、いつかビデオで語っていたのが思い出される。
「写真脳」を駆使して、中沢啓治氏の描く、原爆が投下された瞬間、落下直後に見た光景は、わたしたちの想像を絶している。
「内容が過激すぎる」という意見に対しても、江種裕司さんは「現実はもっともっとヒドいものだった」という。
『はだしのゲン』の否定的な意見としては、後藤寿一さんのインタビューが紹介される。
後藤さんは2歳のときに被爆した。
後藤さんは、漫画『はだしのゲン』は、「(悪い意味で)手品のような作品」「歴史的事実の描写が間違っている」との自論を語った。
しかし、インタビューアはそれに自分の意見をぶつけるのではなく、後藤氏の意見を冷静に受けとめ、そのまま紹介している。フェアだと思った。
それぞれの出演者の被爆体験が心に迫ってくるが、被爆を後世に伝えようとする人たち(講談師・神田香織さん、腹話術師・小谷孝子さん)も素晴らしい。
小谷孝子さんの言葉が胸を打つ!
小谷さんは、中沢啓治氏と同じく6歳のときに被爆。原爆で、弟を失った。
亡くなった弟に見立てた人形に腹話術で語りかけ──集まった子どもたちに原爆や戦争の恐ろしさを伝える。
でも、それだけじゃない。
「私たちは原爆の被害者でもあるけれど、忘れていけないのは、私たちもアジアの国の人たちにヒドいことをしたこと──戦争はみんなを不幸にしてしまう」
子どもたちの多くが、真剣な面持ちで、目を潤ませながら小谷さんを見つめる。
わたしもがまんできず、もらい泣きした。
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『はだしのゲン』が伝えるのは、原爆の恐ろしさだけではない。
戦争に反対する人たちを「非国民」と叫ぶ「国家やメディアに洗脳された市民」たちの恐ろしさも描かれている──というのは平岡啓さん。
そして原爆を投下したアメリカへの怒りも⋯⋯(大嶋賢洋さん)。
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初日の舞台挨拶では、映画の関係者が横に並んで一言ずつ(あるいは二言三言)語ったが、全部を再現する能力がわたしにはない。

(舞台挨拶。左から二人目でマイクを持っているのが込山正徳監督)
そのなかで、「『はだしのゲン』には戦争の恐ろしさがすべて描かれている。だから戦争したい人たちには邪魔なんでしょうね」
というひとや、、、
「『はだしのゲンはまだ怒っている』というタイトルを気にいってます。いまこの時代にゲンがいたらきっと私たちを怒るでしょうね──今まだ何やってるんだ!」
と、現在の日本へ引き寄せて語る人もいた。
少なくもここへ集(つど)っている人たちは、高市政権に危機感をいだいているひとたちだろうな。
舞台挨拶が終わると、満席の会場から大きな拍手が起こった。