ビートルズ来日直前に発売されたのは、「Paperback Writer/ Rain」のシングルだった。これまでも、ビートルズはシングルやアルバムを発表するたびに変化していたが、このシングルも、いままでのビートルズのサウンドとは明らかに違っていた。
「Paperback Writer」では、ポールのベースが唸りをあげている。こういうベース・ギターの演奏を聴いたことがなかった。
しかし、それ以上にB面の「Rain」は、メロディもサウンドも奇妙だった。リード・ヴォーカルは、明らかにジョンの声だったが、いままでのジョンの声とは違ってシャウトというよりは、うめくような声だった。
そして、この曲の演奏の主役は、リンゴのドラムだった。縦横無尽に走るリンゴのドラムが小気味よかった。
その後、ビートルズの来日をはさんで、『リボルバー』が発売されると、「Rain」は、このアルバムの予告編であったことがわかった。
そして、振り返れば、ビートルズの来日より早く、このシングルの発表で、ビートルズの中期への変貌がはじまっていたのだった。
【注】日本公演以前に『リボルバー』が完成していたのだから、すでに中期へビートルズの音楽が突入していたのは当然だったのだけれど、日本公演で見たのは、それまでのアイドルのビートルズだったから、この変化に気づいたひとはほとんどなかった。
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★プロモ映像は、複数ありますけど、こちらは演奏バージョンです。
■Paperback Writer
■Rain