- 作者: 鈴木智彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/12/15
- メディア: 単行本
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著者みずからが作業員として福島第一原発で働いた体験のルポ。
主にふたつのテーマが書かれている。
ひとつは、作業員の人材集めに、暴力団がかかわっているケースがすくなくない。斡旋した手数料が暴力団の資金源に流れている、という状況。
もうひとつは、東電、政府、マスコミが伝えようとしない、著者がぢかに体験した福島第一原発のなかの実態。
★
最後に、こんな文章が出てくる。
関係者は苦しそうな表情で、「年内の冷温停止宣言が足枷だ」とこぼす。
「ここまで異常な事態なんだから、多少、スピードを犠牲にしても、確実性を重要視したほうがいい。現場ではそうした声も強い。無理して『かろうじて冷温停止の定義に、カスるような状態』に持っていったところで、それが一瞬で終われば意味がないからです。
(略)
そのための費用も底をつきかけていて、とりあえず収束した、という形にしたいんだと思います。実際、あちこちで予算が削られています」
(略)
「IF(福島第一原発のこと)の危険手当・・・いまはよくても2〜3000円ですね。あれだけ汚染した場所で作業しているのに、もう通常の単価と変わらない」
IF(福島第一原発)は今でも不安定な状態を抜け出してはいない。にもかかわらず周囲はすっかり、いつもの日常に戻りつつある。