1月18日、月曜日。
きょうもちょっと長めの散歩。
自分の住む町でも、あまりふだんは歩かない(クルマでとおりすぎてしまう)、町の路地から路地へ歩いてみた。
途中でお昼を食べようとおもったけど、食べ物屋がない。ラーメンでも、そば屋でも、定食屋でもいい、とおもったけど、それがなかった。
ふだんならクルマで食べにいくところまで、ぶらぶら歩くことになった。
午後1時40分に自宅(うち)を出て、帰宅が午後4時30分。疲れた。
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夜、DVDで福島の原発事故が、東京郊外に住むふたりの女性に与えた苦痛をリアルに描いた映画『おだやかな日常』を見る。
監督は、内田伸輝。主演のひとり、杉野希妃は、プロデューサーも兼ねている。
杉野希妃は、美しい女優だけれど、インディーズ系映画に、プロデューサー、監督、脚本、女優など、広くかかわっている。
最近、杉野希妃の関連映画を少しずつ見ている。
杉野希妃。
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映画『おだやかな日常』予告編 "Odayaka" Trailer
放射能の見えない恐怖に翻弄されていく女性や子どもたちの姿を描いたドラマ。東京郊外のマンションに暮らすフリーライターのユカコは、東日本大震災後、福島原発から漏れた放射能に不安や危機感を募らせ、会社勤めの夫に引越しをすべきだと主張する。
一方、隣の部屋に住むサエコは、夫が他の女のもとへ行ってしまい、ひとりで娘の清美を育てていた。しかし、放射能から娘を守りたい一心で取ったサエコのある行動が、周囲から非難を浴びてしまう。挨拶を交わす程度の付き合いだった2人の人生が、原発事故により思いもよらないかたちで交錯していく。
(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/77651/
東京郊外、同じマンションの隣りに住む女性、ユカコ(篠原友希子)とサエコ(杉野希妃)のふたりの主人公を通して、原発事故の放射能におびえる日常が描かれる。
その日、激しい揺れがユカコとサエコの住むマンションを襲った。
ユカコは、棚からいろいろなものが落ちるなかで、かろうじて身を守った。
会社から無事帰った夫は、交通機関が動いていないので、都心にある会社から歩いて帰ってきた、と、いう。
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サエコは、幼稚園児の清美をかかえこむようにして、大きな地震の揺れに耐えていた。こんなさなか、帰宅した夫は「ほかに好きな女(ひと)ができたからもうここへは帰らない」という。
夫は、気持ちをはっきり決めているらしく、とりつくしまがない。
ユカコは、ネットでチェルノブイリ事故のことを調べているうち、放射能は、東京までやってくるのではないか、とおびえる。
夫に関西へ引っ越そうと相談するが、夫はそんな簡単に会社は移動させてくれないし、自分だけがそういう行動をすることはできない、とユカコをさとす。夫婦のあいだが、ギクシャクしはじめる。
サエコは、自分も、清美にもマスクをかけて、幼稚園まで自転車で送る。幼稚園の先生に、放射能があぶないので、外で遊ばせないようにしてほしい、とたのむ。
しかし、先生は、政府の発表は「ただちに危険はない」というのだから、そこまでは・・・とためらう。サエコは、放射線測定器(ガイガーカウンター)を買い、幼稚園の遊び場のあちこちの放射線量をはかりはじめる。
その行為が、ほかの園児の母たちから、いやがられる。政府の発表を信じないのか、過剰な反応は、ほかのひとをいたずらにおびえさせ、風評被害をまねく。
同時に、サエコへのいやがらせがはじまった。
無言電話がかかり、郵便ポストへは、サエコを誹謗するチラシが詰めこれまれる。
サエコは、放射能の恐怖と、周囲から受けるいやがらせに、孤立感を高めていく。
幼稚園の先生に相談してみても、あきらかに迷惑そうな顔をされる。
夫が置いてあった荷物をとりにきた。離婚の書類にハンを押してくれ、とたのんで、すぐ帰っていく。
サエコは、もう娘の清美を守れない、とおもう。
清美が鼻血を出したとき、サエコは耐えられず、ガス心中をはかる。
ガスの臭いを不審におもったのが、隣りのユカコ。窓のガラスを破って、サエコと清美を救いだす。
それまで隣りに住みながら接触のなかったユカコとサエコに、交流がはじまる。
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映画を見ながら、東北大地震の原発事故で経験した、忘れかけていた記憶がよみがえってくる。
たとえば、思いつくまま並べてみると、、、
- スーパーやコンビニの棚がガラガラになって、生活必需品が補充できなくなってしまったこと。
- スタンドにガソリンがなくなったこと。
- 福島との距離に関係なく、東京のあちこちで放射線量が高い数値をしめす場所が出たこと。
- 福島産にかぎらず野菜に、汚染が発見されたと。
あのころ、おおくのひとが、原発は日本を滅ぼしてしまうかもしれない、という強い恐怖にかられた。もう原発はいらない、とおもった。
なのに、いま、もうそのことを忘れかけている・・・。
映画が直接表現している以上に、不安な記憶がよみがえってきた。
『おだやかな日常』とは、皮肉が効いている(笑)。
製作は2012年。福島の原発事故が起こった翌年につくられた作品。