- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/06/28
- メディア: 文庫
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もうだいぶ読んでから時間が経ってしまったので、簡単に読書記録として。
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主人公の版画家・森真希は、軽自動車を運転していて、トラックと衝突する。次に意識が醒めると、自宅のチェアで横になっている。からだに、傷はない。しかし、なぜか奇妙だ。
外へ出てみると、家や風景はそのままなのに、まったく人影がない。彼女は、この東京、もしくは日本、世界にたったひとり残されてしまった・・・ようだ。
幸いに、コンビニやスーパーなどのお店は、品物を置いている。ただ店員がいない。真希は、無人のお店に代金を置いて、食物や必要品を買ってくる。
そして、午後3時15分がくると、彼女は、再び自宅のチェアで横になっている。
日常の反復。
そんなある日、不通だった電話が鳴りはじめる。
物語は、ここから新たに動きはじめる。この電話だけが、ひとの住むかつての世界と真希だけが住む無人の世界との、唯一の「回線」になる。
前半は、ふしぎな世界へはいってしまった真希のひとりだけの日常。どう展開するのかと読んでいくと、ある日かかってきた電話から物語は、後半へ移っていく。
真希は、無人の世界を脱出できるのか?
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以前、多部未華子が中学生役で主演している、中村義洋(なかむら・よしひろ)監督の『ルート225』(原作、藤野千夜。2006年)のことをブログで触れていたら、つるひめさんがコメントで同様にふしぎな世界に迷い込む作品としてあげていた小説。
展開がわからず、最後までおもしろく読めた。