映画『少年の君』。
7月17日(土)、炎暑。
照りつける暑さ。
渋谷駅を降りたら、ハチ公前の広場で、「オリンピックを中止に!」と、マイクで呼びかけていた。チラシを配っていたので自分から「ください」といってもらう。暑いなかで、こういう地道な活動されていることに頭が下がる。せめてチラシをもらって一読したい。
今日の映画は、「Bunkamuraル・シネマ」で、デレク・ツァン監督の『少年の君』(中国・香港合作映画)。
40分ほど時間があったので、コーヒー・ショップで桜木紫乃の『星々たち』を読む。『蛇行する月』と2冊続けて桜木紫乃。
底辺で生きるひとたちが、ささやかな幸せを願って日常を生きていく。全然ちがう作風だけれど、藤沢周平が描く江戸庶民の哀切感に似ている。どちらもときどき思い出しては読みたくなる作家。
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激しいいじめを受ける高校3年生の優等生少女・チェン・ニェンと路上のなかで生きる不良少年・シャオベイの「友情」物語。
むかし、吉永小百合・浜田光夫コンビの純愛映画『泥だらけの純情』(1963年)を見たことがある。いいとこのお嬢さんとチンピラとの出逢い、そして恋愛。生きている階層のちがいから周囲に認めてもらえず、最後は雪の降るなかで心中する‥‥という典型的なアイドル映画だった。
設定がちょっと似ているので(『少年の君』は心中ものではないが)、ひさびさに『泥だらけの純情』を思い出したが、見た感触はぜんぜんちがう(笑)。
『少年の君』は、激しいいじめを受ける優等生少女と、最下層のなかで生きるしかない少年との「友情」が縦軸。一方で、過酷な受験戦争のなかで生きる十代の少年・少女の社会的背景の厳しさが横軸。両軸で、作品のおもしろさと社会性の両立に成功している。
主演の少女を演じたのは、チョウ・ドンユイ。満島ひかりが十代のころはこんな感じだったのかな、ていうような可愛らしい顔をしている。不良少年を演じたイー・ヤンチェンシーは、例えがよくわからないが、予告編を見たらわかるようにイケメンだ(笑)。
青春映画と社会派映画がまじったような作品だけれど、よくできていて、ストーリーの展開に一喜一憂した。
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緊急事態宣言下、お酒を飲むたのしみを我慢して、渋谷駅へ直行。さきほどの「オリンピックを中止に!」のひとたちは、もういなかった。新宿からすわれたので、もらったチラシを読む。