かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

「男はつらいよ〜寅次郎物語」(ビデオ)

男はつらいよ 寅次郎物語〈シリーズ第39作〉 [DVD]
久しぶりの寅さんです。気分転換にはやっぱり寅さんがはいりやすいかな、とおもって選択しました。1987年の作品で、39作目。マドンナは、秋吉久美子です。

寅さんの仕事仲間の「マムシのマサ」が死んで、小学生の秀吉(寅さんが名づけ親)が、突然「とらや」へ寅さんを訪ねてきます。とらや一家は、もしや寅さんの子では?……とあわてますが、そうではないことが、寅さんが帰ってくると判明します。

映画の後半は、寅さんと秀吉の、母探し。「マムシのマサ」の虐待に苦しんで家出した、秀吉の母(ふで)を探して、寅さんと秀吉は旅から旅へ。ちょっとしたロード・ムービーの趣きです。

この作品の特色としては、マドンナの秋吉久美子が、からみますが、寅さんが秋吉久美子に恋して、お決まりの失恋する、といういままでのパターンがありません。二人は、「とうさん」「かあさん」とよびあって、病気になった秀吉が回復するまで協力しあいますが、翌日にはあっさり別れてしまいます。心の傷をもった秋吉久美子は、寅さんと協力して、子供の病気を救うという行為で、自分が癒されます。

39作目のこの作品では、寅さんはなかなかの人格者として描かれています。とらやへ帰宅してのお決まりの喧嘩もなく、寅さんは、父を失った子供を母にあわせるために奔走し、旅のさなかに出くわした秋吉久美子の心を癒し、満男の「人間はなんで生きてるのかな?」という難問に、「それは、時々生きていてよかったとおもえることがあるから生きているんじゃねえか」と答えます。

シリーズ前半の人騒がせでドジな寅さんが、次第に、人情に厚い苦労人に変わっていく、その瞬間を見たような気がしました。