かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

朝井まかて著『すかたん』読了。


すかたん (講談社文庫)

すかたん (講談社文庫)


電子書籍で読了。新鮮な時代小説だ。


他の作品にも共通する、この作者独特のめげない明るさをもつ女性がこの小説でも、主人公で登場する(『恋歌』の主人公はちょっとちがうか? でもやっぱり共通点は多いな)。正義感が強く、頑張り屋だけど、どこかのほほんとしてしているのが、かわいい・・・。


武士の夫が死んで、その家を出て、どうして大阪で自活するようになったのか、その経緯を忘れてしまったけど(あとでもう一度読み直してみよう)、とにかく、大阪の青物問屋の大店(おおだな)で手厳しく叱られながら、日々を働くことになる。


その家の女主人の躾が腹が立つほど厳しい。


彼女は、たびたびくじけそうになりながら、「食べていかなきゃならないし、他にいくところがないから」と、もっともらしい大儀なく頑張るのが、どこか清々しい。


「すかたん」のあだ名をもつ、この大店の風来坊(若旦那)との、なかなか進展しない恋愛小説でもある。


朝井まかての作品に登場する女性には、そのゆるやかな魅力に惹かれ、いつも応援しながら読んでいる(笑)。