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tougyouさんがお好きな映画ということで、ずっと気になっていましたが、やっと見ることができました。
おっしゃるとおり、素晴らしい映画です。
「笠さんは、スクリーンに映っているだけで、その人間の正直さのようなものが観客に伝わるじゃないか」というようなことをいっていました。
tougyouさんならもっと正確なセリフをご存知かもしれません(笑)。
要はスクリーンというのは正直なもので、その役者の人間性、素地のようなものは、見るものに伝わってしまうものだ、、、
というようなことを小津安二郎監督はいいたいのだとおもいます(たぶん?)。小津は、俳優の素地をもっとも重要視した監督かもしれません。
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『アラバマ物語』の主演グレゴリー・ペックは、小津のいう意味のままで、この映画の良心を、見るものに信じさせる説得力を体現していました。
人種差別の偏見のために犯人にされてしまった黒人青年の冤罪を、映画の人物がではなく、グレゴリー・ペック自身が晴らそうと闘う姿を見ているような錯覚が起こるほど、彼の表情は自然で、魅力的でした。
ロバート・マリガン監督は、グレゴリー・ペック演じる弁護士が<黒人に差別意識をもっていない>ということを、くどくど説明しません。とても簡潔です。
彼の家には、彼の妻が亡くなっていませんが、彼のほかに、二人の子供とメイドの黒人女性がいます。
この黒人のメイドが、来客の前で行儀の悪い男の子を、自分の子供のように叱りますが、グレゴリー・ペックはその場にいながら当然のような顔をしています。
メイドも当たり前のように主人の子供を叱っています。子供もごく自然に怒られて反抗しません。
また子供たちは、父の関係する裁判を傍聴しようとやってきますが、1階の白人の席ではなく、2階の黒人の席で傍聴します。
偏見がないから、なんのふしぎもなく、黒人にまじって、熱心に父の弁護する様子を見ています。
もうこれで、人種差別についての抽象的な説明など、この映画では必要がないんです。グレゴリー・ペックとその子供たちがどのような家族なのか、十分に説明されました。
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この二人の兄妹の可愛らしさも、映画の魅力です。
賢そうな兄と、そのあとをついてまわる、おかっぱ頭の女の子。
女の子は、まだ男の子と女の子の区別もわからないのか、ムチャなことでもなんでも、兄のあとをくっついてやってのけます。それがあぶなっかしくて、可愛い。
二人の子供たちが、主演のグレゴリー・ペックと同等の魅力を作品に与えているとおもいました。