かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

リンゴ・スターのインタビューから



ビートルズ・クラブ」の最新号(3月号)、31頁に、「最新リンゴ名言集」という記事が出ている。そのなかで、次の発言が興味をひく。

●4年前に両肩を手術したことについて


リンゴ:ドラミング症候群さ(笑)。でも僕は練習をしないからね。なぜってひとりで座ってドラムを叩いていても楽しくないから。僕にはメロディが必要なんだ。僕は一緒に演奏するベーシスト、ギタリスト、ピアニストが必要なんだ。僕は部屋に自分以外の人間がいるのが大好きなんだ。僕は大きなガラスのうしろ(ドラムの遮蔽板のこと)に隔てられているようなのは好きじゃない。ひとつのスタジオに一緒にいなければできないお互いの発するエモーションを感じる必要があるんだ。


リンゴは、むかしから過小評価されてきた。楽曲中心のビートルズというバンドでは、演奏者としての評価はついつい軽視しがちになる。ジョージのギターも、リンゴのドラムも、素晴らしいビートルズの楽曲に欠かせないものであるのは明らかなのに、軽く考えられてきた。いまでは、ファンを唸らせるポール・マッカートニーのベースでさえ、60年代にはジャック・ブルースなどに較べると評価は低かった。みんな露骨なプレイヤーでないと、感心しないのだ。だから、1964〜1965年ころは、ビートルズよりもベンチャーズの方が、バンドとしての評価が高かった。


リンゴはドラム・ソロをしない。バカバカしいけど、それだけで、むかしは評価点が低かったのだ。


ビートルズの楽曲を聴くと、リンゴが1曲1曲を理解し、それにふさわしいドラミングを創造しているのがわかる。月並みなリズムやオカズはまったくない、といっていい。オカズが必要ない楽曲では、じっと辛抱して、単調なリズムをキープすることに耐えている。リンゴでなければそれもできないかもしれない。


変則なリズムには、みごとに対応している。ビートルズには、リズムのとりにくい変拍子が多い。それをリンゴはなんなく叩いているけれど、両手でもって、自分でそのリズムを叩いてみると意外な難しさに気がつく。そういうこともリンゴのためにいっておきたい。


メロディをきちんと咀嚼し、その楽曲が必要とするドラミングを適切に叩くリンゴのドラマーとしての価値を、ビートルズのメンバーは、特にジョージとジョンは理解していた(ポールは微妙だ)。


そのことをリンゴの側から裏付けるような本人の発言に目がとまったので、アップしました。



それから、shiropさんがこちらのブログで詳細に書かれていますけど、リンゴの最新作『Y NOT』は、ビートルズ・ファンをよろこばせてくれる素晴らしいアルバムです。


それにもかかわらず、ここ数作のリンゴの傑作群と同じく、音楽界はほとんど黙殺ですね。


そんな不満もあって、shiropさんのブログを読んで、「そうだ、そうだ」と大きくうなづいてしまいました。