かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

和泉聖治監督『お日柄もよくご愁傷さま』(1996年)

結婚式にお葬式、娘の出産や自分のリストラ、さらには家庭内の問題など、次から次へと起きる騒動を通して、家族の絆を見つめ直す中年サラリーマンの姿を描いたハートフル・コメディ。


(「goo映画」より)


山田洋次監督が選んだ日本の名作100本〜喜劇編」で見る。


結婚式と葬儀と出産が重なる、という慌ただしい日常が笑いを誘う。困惑する主人公を演じるのが橋爪功吉行和子演じる夫妻。これは先日見た山田洋次監督『東京家族』と同じ夫婦役の組み合わせだが、19年前の作品だから、だいぶ橋爪功吉行和子も若い。


橋爪功ってうまい役者なんだなあ、とあらためておもう。もしこんな状況に置かれたら、誰だってあわてふためくだろうが、主人公は、葬儀では厳粛にふるまわなければならないから、はたから見ていて笑ってしまう。これは伊丹十三監督『お葬式』(1984年)のおかしみとも似ている。


ただこの作品、終わり方がくどいのではないか、とおもう。橋爪功吉行和子が、大雪山の山小屋でキスするシーンまでくると、それまでの笑いが凍りついてしまった。


成瀬巳喜男監督や小津安二郎監督の名作は、「えっ? これで終わりなの」とおもうくらいに、余韻を残して終わる。腹八分目だ。が、これでもかこれでもかと最後が続くと、見終わったあと、食べ過ぎで胃がもたれてしまう。