かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

川本三郎・筒井清忠『日本映画 隠れた名作』を読む



古い日本映画を見るたのしみのひとつは、懐かしい日本の風景に出会えることにある。


現在その時代を映画化するとなれば、CGなどを使って、セットで作りあげるわけですが、当時の映画には、原風景がそのままの姿でごく普通に映っていて、なんだかそれだけでしみじみ感動してしまう。



日本映画の傑作は、小津安二郎黒澤明だけじゃない。素晴らしい監督たちが、たくさんの名作を残している。それをもっと読者に知ってほしい。


ということで、


『日本映画 隠れた名作』は、昭和30年代ころにつくられた「隠れた名作」を、ふたりの対談で次々紹介していく。


名画座などで見たものもあるけど、未見のものも多い。俄然、興味がつのるけれど問題なのは、その手段がなかなかない、ということで、


「本なら図書館という便利なものがあるのに、古い映画を見ようとすると、奇跡的な幸運にでも遭遇しないかぎり、なかなか見るチャンスがない。不公平だよなあ」と、いつもながらおもってしまう。


有料でもいい(無料ならなおいいが)、DVDの映画を在庫した、「映画の図書館」のようなものができないものかな。映画は、時代を映す文化遺産でもあるから、いつでもだれでも、それを見たいときは見ることができる(あるいはレンタルできる)ような公共施設があってもいい、とおもうけど。


映画鑑賞の達人、川本三郎氏、筒井清忠氏、おふたりの名画探索を読むうち、あれも見たいこれも見たい、と欲求不満状態になってしまいながら、それでも虎視眈々と機会をとらえて、いつかそのなかの1本でも多く見ようとおもいながら、たのしく読了。