かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

志賀直哉と杉村春子の対談〜『志賀直哉対話集』より(1969年)

20代か30代のころ、神田神保町の古本屋、北澤書店*1で買った本が、本棚から出てきた。全編志賀直哉の飾りけのない<肉声>が伝わってきて、興味が尽きない。対談の相手も、いろいろだ。 ★ 目次を写してみると、 谷崎潤一郎「文芸放談」 天野貞祐「内村鑑三そ…

小津安二郎監督『晩春』(1949年)

地震の起こる前、雑誌「新潮45」が、原節子15歳の出演映画『生命の冠』を付録にしていたので、購入して見た。予想はされたが、案の定、原節子の出番は少ない。それで、この映画を見たあと、もっと原節子の映画が見たくなった。 で、比較的最近『麦秋』、『東…

ビートルズ「ロング・アンド・ワインディング・ロード」

レット・イット・ビーアーティスト: ザ・ビートルズ出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン発売日: 2009/09/09メディア: CD購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (34件) を見る 完璧なアルバム『アビー・ロード』(1969年)の次にビートルが発表…

大山へ向かう峠茶屋のシーン〜志賀直哉『暗夜行路』より

暗夜行路 (新潮文庫)作者:直哉, 志賀新潮社Amazon わたしは、志賀直哉の『暗夜行路』は、全編を貫くテーマや思想よりも、細部で光るなにげない描写が好きだ。『暗夜行路』をしかつめらしく読む必要はなく、作者の見つめる視線の先を、いしょに楽しめばいいの…

ビートルズの「レット・イット・ビー」

レット・イット・ビーアーティスト: ザ・ビートルズ出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン発売日: 1998/03/11メディア: CD クリック: 29回この商品を含むブログ (59件) を見る 映画『レット・イット・ビー』を有楽町のスバル座で見たのは、1970年。 何…

矢崎仁司監督『スイートリトルライズ』(2010年)

スイートリトルライズ [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2010/10/06メディア: DVD購入: 2人 クリック: 78回この商品を含むブログ (38件) を見る DVDケースの解説を読んで、レンタルしてみました。 ★ 若い夫婦なのに、すでにお互いの関係は冷え…

万田邦敏監督『接吻』(2008年)

接吻 デラックス版 [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント発売日: 2009/02/25メディア: DVD クリック: 62回この商品を含むブログ (84件) を見る 孤独で誰にも注目されない人生を送ってきた女が、一家3人を鈍器で撲殺した犯人をテレビで見て、…

山下敦弘+ボブ・ディラン〜山下敦弘監督『マイ・バック・ペイジ』(5月28日公開予定)

マイナー映画のときから、注目している山下敦弘(やました・のぶひろ)監督の新作が5月に公開される。 『どんてん生活』(2001年) 『ばかのハコ船』(2002年) 『リアリズムの宿』(2003年)*1 『リンダ リンダ リンダ』(2005年) 『松ヶ根乱射事件』(200…

その日のこと(3月11日)

スポーツクラブで汗をながしてから、いつもいくラーメン屋さんへいく。このお店は、中国人のきれいなおかみさんがやっている。 いつもレモンサワーを2杯たのむと、豪華なネギチャーシューと冷奴を、無料でつまみに出してくれる。 そういう決まりがあるわけで…

つげ義春作「もっきり屋の少女」〜石井輝男監督『ねじ式』(1988年)より

つげ義春の作品のなかで、方言をしゃべるおかっぱの少女が登場する作品は、「沼」(1966年)、「紅い花」(1967年)、「もっきり屋の少女」(1968年)と3作ある。 ほかにもあるかもしれないが、こまかなことはぬきにして、とりあえずこの3作である(笑)。 …

『英国王のスピーチ』、『死にゆく妻との旅路』〜映画館をハシゴする。

3月5日土曜日、休日。 塙幸成監督『死にゆく妻との旅路』を見にいこうとおもって検索したら、東京では有楽町の「ヒューマントラストシネマ有楽町」の1館しかやっていない。 さらに埼玉を検索したら、上映している映画館がひとつもない。これにはおどろいた。…

石原慎太郎氏の「苦役列車」選評

文藝春秋 2011年 03月号 [雑誌]文藝春秋Amazon ★ (略)西村賢太氏の「苦役列車」は、これはまた体臭の濃すぎる作品だが、この作者の「どうせ俺は──」といった開き直りは、手先の器用さを超えた人間のあるジェニュイン*1なるものを感じさせてくれる。 超底辺…

鎌倉の散歩(2月19日)

Nao(息子)から鎌倉を散歩しよう、という連絡があって、12時に八幡宮の境内で待ち合わせる。 Naoは午前10時ころから、北鎌倉駅を拠点にスタートしていた。夜勤あけのわたしは遅れて極貧荘を出たので、八幡宮へ直行する。 極貧荘のある東武練馬から池袋へ出…