朝9時過ぎの東武東上線で、川越から都心へ向かう。高田馬場駅で降りて、映画がはじまる時間まで、コーヒーを飲みながら読みかけの青木理(あおき・おさむ)著『誘蛾灯』を読む。題材は複数の男が不可解な死を遂げた「鳥取連続不審死事件」。
- 作者: 青木理
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
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ノンフィクションものはそれほど読んだことがない。しかし、この本は読みやすく、おもしろい。
上田美由紀という、とくに容姿端麗でもない、30代の太った女性に身も心も魅せられ、人生を狂わされていった男たちに、何が起こったのか?
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午前11時15分前に早稲田松竹へ。前田司郎監督『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(2013年)と山下敦弘(やました・のぶひろ)監督『もらとりあむタマ子』(2013年)を見る。
前田司郎、監督・脚本の『ジ、エクストリーム、スキヤキ』は、まったりした男女4人のロード・ムービーもの。海の見えるところでスキヤキを食べようとドライブに出かける。それは人生を見直してみる旅でもある。会話がおもしろいので、なんどもクスクス笑ってしまった。
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2014/06/04
- メディア: DVD
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『もらとりあむタマ子』も、山下敦弘監督とずっとコンビを組んでいる向井康介氏の脚本がおもしろい。監督、脚本のふたつがよかったら、映画がつまらなくなるはずがない。
大学を卒業しても、就職をせず、家でゴロゴロしている23歳のぐうたら娘とその父の「秋、冬、春、夏」が淡々と描かれていく。
ダメ男を描くのがうまい山下敦弘監督が、この映画ではダメ女を主人公にしている。必要以上にやりすぎない、さじ加減のよさが、山下敦弘監督作品の魅力である。ぐうたら娘を演じる前田敦子もなかなかいい。2本とも、極上の映画で満足する。
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高田馬場の定食屋で、さば味噌煮定食と酎ハイ2杯で昼食をすませる。
高田馬場から恵比寿で乗換え、りんかい線で東京テレポート駅へ。このコースで台場へ来るのははじめて。どこにボブ・ディランのライブ会場があるのか位置がつかめず、迷子になった。
売り場の女性に尋ねて、やっとたどり着く。
18時会場までの40分、青木理著『誘蛾灯』の続きを読む。本がおもしろいと、空き時間が退屈しない。
18時少し前に会場の外に整理券順に並んで入場を待つ。整理券はAブロックの1179番。リンゴ・スターのときより、だいぶ後ろだ。
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19時より、ほぼ時間通りボブ・ディラン登場。事前情報通り、ディランはスタンドマイクで楽器を持たずに歌うか、移動してピアノを弾きながら歌う。この区間を曲のたびに行ったり来たりする。声は、最近のアルバムで予測できるとおりのだみ声。それを歌の語尾でむしろ強調するように歌うのがおもしろい。
曲順はほぼ予測していたとおり、といいたいが、歌詞をよく聴いていないと、アレンジがちがうのでなかなか曲目が判別できない。
もっともこれは、初来日以来、いつものことで、ボブ・ディラン・ライブの楽しみのひとつでもある。
むかしの曲も最近の曲も(懐かしのナンバーは5曲くらいで、あとは比較的最近のアルバムから選曲されている)、同じようなスタイルで歌うので、単調といえば単調で、ずっと長い1曲を聴いているようでもある(笑)。
アンコールの2曲(「見晴らし塔からずっと」、「風に吹かれて」)が終わって、バンドのメンバーとディランがステージの前の方に出てきたとき、不思議な行動を目撃する。
前の人垣でよく見えないけれど、ディランが最前列のひとたちと握手をしているようなのだ。ボブ・ディランが、こういうファン・サービスをやるひとだ、というのは意外だった(訂正:わたしの場所からは見えなかったが、握手ではなく前列のひとにサインをしていたらしい。こちらのサイトに詳細が掲載されています)。
それが終わると、ボブ・ディランは、「サンキュー」の一言も発することなく、黙ってステージを去っていく。
ほぼ21時。休憩を20分含んだ、2時間の、ボブ・ディランのライブは終わった。
2時間立ちっぱなしで、ひどく疲れた。ディラン自身が強い照明を嫌うのか、マイクスタンドで歌うディランに明るいスポットライトがあたらない。薄暗い明かりしかあたっていないので、わたしの位置(Aブロックのいちばん後ろ)からは顔がよくわからない。双眼鏡を出して、やっと少しディランの表情が見えた。
前の背の高い男が、こともあろうに鍔の広い帽子をかぶっていて、それが視界を遮るので、さらに見にくいったらない。帽子男がからだを右に揺らすと、こちらは左に首を傾け、向こうが左に揺らすと右に傾けなければならないので、くたびれた。傾斜のないスタンディングで、帽子着用はマナー違反ではないか、とおもう。
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東京テレポート駅へもどって、埼京線で池袋へ。腹がへっていたので、池袋駅構内で立そばを食べる。
東武練馬駅近くの居酒屋「春日」へ寄って少し飲んで帰るつもりでいたが、すでに閉店に近い時間で、それにひどく疲れていた。
コンビニで缶酎ハイを買って、そのままアパートへ帰る。