かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

成瀬巳喜男監督『あらくれ』(1957年)



気丈な女性・お島(高峰秀子)が、頼りない男性たちのあいだで翻弄されながらも、持ち前の元気さで、困難を切り拓いていく。


頼りない男は、、、


三人三様にふがいない、成瀬巳喜男にはおなじみのダメ男が、一挙に3人登場する(笑)。


好きな芸者には羽織などを送りながら、自分の女房にはケチなのが上原謙。見るからにいやらしい俗物を上原謙が好演している。


この中では一番マシだが、お島を山奥に囲い、女房が病気の療養から帰ってくると、縁を切りたがる情けない男が森雅之。しかし、お島もこの男には、生涯の愛情を抱く。


お島と共に洋服屋をはじめるが、商売の苦労はお島まかせ、自分はノラクラと怠けているのが加東大介。この精力絶倫男は、お島だけではものたりず、商売が成功すると、女を囲って、お島に愛想をつかされる。


こんな頼りにならない男のなかで、男勝りのお島がたくましく生きていく。男との取っ組み合いもしょっちゅうで、いままで高峰秀子が演じた役割とはちょっと違う。


しかし、高峰秀子はうまいですね。こんな破天荒な女性の生き方を、説得力のあるものにしているのは、高峰秀子の卓越した演技だとおもいます。


時代は大正から昭和のころでしょうか。日本の懐かしい街並みを見ることができるのも、成瀬作品の楽しみの1つです。


こちらに、ringoさんの感想があります。改めて読みましたが、なっとくです(笑)。