上尾、丸山公園。水辺のある風景。
4月11日(日)、晴れ。
映画を見にいこうかとおもっていたが、近くの映画館でやっている作品にもうひとつ気持ちが向かわなかったので、結局、午前・午後と、家でゴロゴロして、なんどか昼寝した。
昼寝のあいだに、村山由佳著『風よ あらしよ』(Kindle版)を読了。
労働者の解放、フェミニズム(男女同権)などをかかげて権力と真っ向から闘った伊藤野枝のものがたり。
大杉栄を愛し、思想に殉じた野枝は、韓国人・朴烈(パクヨル)を愛し、朴烈とともに日本政府のアジア人差別や労働者への圧政と闘った金子文子の姿にも重なる。
関東大震災後のドサクサのなかで、強制連行されたのも、同じ。
しかし、、、
金子文子と朴烈(パクヨル)は、裁判にかけられたが、伊藤野枝と大杉栄は、強制連行されたその日に、甘粕正彦憲兵大尉らの手によって、虐殺(絞殺)されてしまう*1。
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伊藤野枝は、恋愛にも情熱的だった。
二度の離婚を経験したが、三度目にめぐり逢えた大杉栄を、生涯のひととして愛しぬき、なお思想的な同志として、残る短い人生を最期まで共にした。
信じられる思想と愛するひとを得た女性の強さを金子文子から感じたが、伊藤野枝も無敵だった。
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小説『風よ あらしよ』は、実在した人物たちが登場し、彼らの視点から見る野枝や大杉栄の人間像が描かれる。
- 上野女子高等学校の英語教師時代、生徒の伊藤野枝と恋愛し、同校を退職、結婚。その後大杉があらわれて離婚することになる辻潤。ダダイズム*2をかかげ、放浪のなかに生きた辻潤のその後の人生も興味深いのだけれど、野枝との関係からはそれるので、そこは描かれていない。
- 思想活動に忙しく、家庭に時間を割けない野枝と大杉のために、彼らの子供の世話をする優しいひとだった村木源次郎。村木は、野枝と大杉が虐殺されてからは、黙々と官憲への復讐を企てる(小説は、復讐までは描かれてない)。
事実をベースにしながら、人物の内面に自由自在にはいっていけるのはフィクションの利点。長い作品だけれど、たのしみながら近代史の一面を教えてもらった。
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日が長くなったので、夕方川越と上尾のあいだにある丸山公園までクルマでいき、公園内を散歩する。
水辺がある公園は、散歩もたのしい。樹々のあいだを、歩く。菜の花が咲いていた。
この公園は、犬の散歩ができるので、歩きながら、いろいろな犬種と出会った。
散歩がいやなのか、大型犬で、地べたに「伏せ」の姿勢のまま動かなくなってしまう犬がいた。
主人に抱えられてラクチンな散歩をしている小型犬をみかけることはあるけれど、動かない大型犬はあまり見たことがないので、おもしろかった。そのくせ、近くに小型犬が通ると、ワンワン吠えて威嚇する。あまり性格がよくない(笑)。
公園を一周した帰り道、違う場所で、またその大型犬が、地べたに「伏せ」をしていた。見てると、こんども通りかかる小型犬に吠えている(笑)。
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帰り、回転寿司で夕飯。生ビール2杯。