かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧

角田光代「東京ゲスト・ハウス」(河出書房)

サトシ、暮林さん、ヤマネさん、フトシとカナ、ミカコ、たちの半共同生活を描いた小説。角田光代は生活のディテールを描くのがうまいですね。なんでもないことを描いているようでいながら、彼女独特の感性があちこちに生きていて、それが作品の魅力になって…

我孫子、志賀直哉旧居と白樺文学館

我孫子の駅、手賀沼の風景は3、4年前に新しき村のひとたちと来たときと変っていませんでした。あの時以来の我孫子です。小雨がやみそうでやみません。缶チューハイとそのまま食べられる食料を買って、駅から10分くらい、まっすぐに伸びた手賀沼までテクテ…

雨の中を本土寺に向かう

6月23日、仕事あけ。雨で迷いましたが、北小金の本土寺にあじさいを見にいきました。いくらか小降りになったといっても傘をささないわけにはいかず、あずけそこなった手荷物とともに煩わしく、早く雨がやんでほしいもの。 境内までの長い参道には、まだ開店…

奥田英朗「最悪」〜サスペンスかドタバタか、どっちにしてもおもしろい(笑)

小さな工場の経営者川谷信次郎と、定職をもたずパチンコにいりびたっている青年野村和也、大きな銀行に勤める女子行員藤崎みどり、この3人が本作の主人公です。このまったく関連しない3人の唯一の共通点は川崎市に住んでいることだけ。「邪魔」でもそうで…

ポール、元気な63歳のバースディ!

ポール・マッカートニーが今日で63歳になった。なんて元気な63歳だろう。先日の来日コンサートでも元気いっぱいでおどろいたが、ポールの活力はまだまだ衰えを知らないようだ。ニュー・アルバムと2006年の来日も噂されている。現在のバック・バンドとの相性…

嫉妬に身を焦がす女流詩人の生涯〜映画「シルヴィア」

才色兼備の女流詩人なら、いいことづくめのはずなのに……。夫(詩人テッド・ヒューズ)への嫉妬心を自分でコントロールできない女流詩人シルヴィアの悲しみ。美しいシルヴィアの表情が、嫉妬に燃えると一転恐ろしい表情に豹変する。愛らしいグウィネス・バル…

山下敦弘監督作品「バカの箱舟」

山下敦弘監督の作品で最初に見たのは「リアリズムの宿」でした。これは、ぼくの好きなつげ義春のマンガが原作です。見た動機も、つげ作品の映画化だからでした。 なんとも冴えない二人組の、目的もはっきりしないロード・ムービーです。情けない、シミジミと…

好調リンゴ・スターの新譜『チューズ・ラヴ』発売!

『リンゴ・ラマ』でも健在ぶりを示したリンゴの新作が届きました。前作『リンゴ・ラマ』ではハード・ロック的なサウンドで、力強いドラミングを見せてくれましたが、今回はもっとポップな仕上がりで、1曲1曲の楽曲が印象に残ります。タイトル作「チューズ・…

映画「約三十の嘘」

詐欺師たち集まって、一攫千金を狙うとなれば、その手口と現場の緊張感がクライマックスになるはず。ところが、映画は一瞬にして彼らの手口を成功させてしまうのだ。仕事を終えた彼らのかばんには、見事にせしめた札束がいっぱいになっている。詐欺師のトリ…

角田光代著「カップリング・ノー・チューニング」

ぼくは、はじめて買った中古のシビックに乗ってあてのないドライブに出る。最初は高校の時の同級生春香を同乗させて、ラヴホテルで1泊。しかしセックスは果たせず、春香の果てしのない昔話につきあわされる。食事に寄ったレストランで、ぼくに「一緒に逃げよ…

マッカートニー・ローズを探して!

マッカートニー・ローズ。ビートルズ・ファンなら、名前だけで立ち止まってしまうでしょ(笑)。ML「ビートルズ探検隊」でマッカートニー・ローズが話題になりました。写真をアップしてくださったのを眺めたりしていたら、どうしても本物を見たくなって、車…

兄弟が一人の女性をめぐって対立する神話ような作品「海猫」

映画館へ見にいきそびれていた森田芳光監督の「海猫」をDVDで見ました。森田監督には、好きな作品とそうでもない作品がわりとわかれているで、今度はどうだろうかな、とおもって見たけど、けっこうおもしろく見れました。主演女優の伊東美咲(薫役)が美しい…

奥田英朗「真夜中のマーチ」

またまた奥田英朗作品です。そして、これも読み出したらやめられない。奥田作品は、登場する人物がいつもユニーク。この作中人物たちに付き合っているうちに、いつか話のおもしろさに惹き込まれてしまう。美しくタカビーな女性、クロチェ(黒川千恵子)と、…

ポール死亡説の周辺

ポール死亡説の周辺ポールといえば解散まぎわ「ポール死亡説」というのがありましたですね。あれって、なんだったんでしょうね。アルバム『サージェント・ペパーズ』の裏ジャケでポールだけが後ろ向きに立っている、とか「アイ・アム・ザ・ウォーラス」の最…

奥田英朗著「邪魔上下」〜平和な家庭が崩壊していく様を鋭く描く

やっぱりこの作家うまいなあ。しかも、作風が広くて、まだまだ全貌が読めません。とにかく、ズンズン惹きこまれてしまいます。「イン・ザ・プール」や「空中ブランコ」の伊良部一郎(精神科医)ものから、青春小説「東京物語」とそれぞれ別な味わいで楽しま…

映画「ネバーランド」

誰でも知ってるあのピーターパンが創造されるエピソードを、感動的に描いた作品。 少年たちと、心と想像を共有できる主人公の童心が映画の見せどころになっています。主役のジョニー・デップは好演しています。しかしこの約束された終わり方、またかと思えて…

もう1度白紙で彼のことを知ってほしい〜ジョージ・ハリスン、ソロの軌跡

★ジョージ・ハリスンのソロ最高傑作アルバムは? 一般には、ソロ第1作の『オール・シングス・マスト・パス』(1971年=国内で発売された年です)があげられることがおおい。ジョージというと、この作品だけが唯一の傑作とおもっているひとも少なくないよう…

1963年のサラリーマンは「気楽な稼業」だった?

池袋の新文芸座で岡本喜八監督の特集をやっています。なかなか仕事明けのいい日にぶつからないので見たくても見られませんが、今日(5月27日)やっと行ってきました。「江分利満氏の優雅な生活」は、むかし山口瞳の原作を読んでおもしろく、それからしばらく…

青山墓地にある志賀直哉の墓

仕事で青山へ出たので、志賀直哉の墓へ行ってみました。これまでに2度訪問してますが、期間があいているのと、墓地は東西南北の風景に変化がないので、そばまで行きながら場所がわからず、一度引返したり、探すまでに時間がかかってしまいました。直哉の墓…