かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2011-01-01から1年間の記事一覧

三浦しをん著『まほろ駅前番外地』

まほろ駅前番外地作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 62回この商品を含むブログ (88件) を見る 『まほろ駅前多田便利軒』の続編。前作で脇役にいた人物が今回はクローズアップされ、主人公に…

山下敦弘監督『マイ・バック・ページ』(公開中)

原作を読んでないので、早く読んでみたい。 ★ メジャー映画になってくると、以前ほど濃厚に山下敦弘の特徴をかんじないが、妻夫木聡と松山ケンイチが顔をつきあわせて、ゆっくり会話するようなリズム感覚は、この監督の持ち味のような気はした。 描かれてい…

成瀬巳喜男監督『秋立ちぬ』(1960年)

もう一度見たい、とおもいながらレンタル店にないので、ringoさんにお願いして、録画したものを借りる。 ★ 成瀬巳喜男映画=女性ドラマ、という印象があるけれど、成瀬巳喜男の厳しいリアリズムは、主人公が少年であってもまったく容赦しない。 おとなたちの…

アルバート・キング「スカイ・イズ・クライング」

最初に聴いたのは、エリック・クラプトンのアルバム『安息の地を求めて』(1975年)のなか。渋い曲だなあ、という印象が強かった。それはこのアルバム全体もそうだったけれど・・・。 1989年、来日したアルバート・キングをエムザ有明で見た。そのときに、ア…

角田光代著『八日目の蝉』

映画もよかったが、原作もよかった。 強い力でグングン読まされてしまう。現実味の乏しい設定なのに、リアリティをもって迫ってくるのは、文章の力だろう。銀色に光る小豆島の海の描写は、映像よりも文章表現のほうがまばゆいくらいだ。

三宅喜重監督『阪急電車 片道15分の奇跡』(公開中)

場所を限定する話、というのは好きなので見にいく。 宝塚〜西宮北口間を約15分で走る、えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。その電車に、さまざまな“愛”に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら、偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた。 (「goo映画…

ノグチさんの「The Beatles Tea Party」へ参加(5月15日)

ノグチさん主催の「ビートルズ・ティー・パーティ」へ参加するため、護国寺駅へ。すこし早めにきて、護国寺の境内を散歩する。 本堂へはいると、天井に描かれた仏画や、壁にかけてある絵馬がおもしろくて、しばらく眺める。もっと奥へはいると、暗い小部屋に…

ロブ・レターマン監督『ガリバー旅行記』(公開中)

先日上野で、『ガリバー旅行記』を見た。 上野の映画館では3Dの設備がなく、次の予定も決まっていたので、そのままそこで見たが、つまらなかった。 ジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』は、小人の国、大人の国、空飛ぶ島の国、馬の国・・・の4つの…

ロビー・ロバートソン&エリック・クラプトン「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」

ハウ・トゥ・ビカム・クレアヴォヤントアーティスト: ロビー・ロバートソン feat.エリック・クラプトン,ロビー・ロバートソン,エリック・クラプトン出版社/メーカー: 日本コロムビア発売日: 2011/03/23メディア: CD クリック: 22回この商品を含むブログ (8件…

稲垣浩監督『無法松の一生』(1958年)

無法松の一生 [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2004/08/27メディア: DVD クリック: 35回この商品を含むブログ (36件) を見る 最初は小学生のころ、父に連れられて熊谷の映画館で見た。 封切りの年が1958年なので、まだわたしは9歳くらいだったのではない…

成島出監督『八日目の蝉』(公開中)

公開されたばかりの映画なので、内容にはあまり触れない。じっくりと見せてくれる映画だった。147分という長さをまったく感じさせない。15分も見ていると、作品のなかに惹きこまれてしまう。 『八日目の蝉』は、センチメンタルになりやすい素材を、センチメ…

もっと聴きたいジョニー・ウィンター!!

shiropさん、jinkan_mizuhoさん、そして知人のオオヤマさんから、ジョニー・ウィンターについて熱い話を聞いているので、その余熱から、CDを聴いたり、Youtubeを見たりがいまだ続いている。 ★ この曲は、1965年ころ、ローリング・ストーンズのレコードで知…

大森立嗣監督『まほろ駅前多田便利軒』(公開中)

多田(瑛太)と行天(松田龍平)というユニークなふたりを主人公にしているのに、気持ちよく楽しめないのは、ふたりに重い背景を背負わしているからだ。原作にもかんじた違和感が、映画で、もっとはっきりした。 多田は、離婚歴があり、自分の不注意で子ども…

マキノ雅弘監督『続・丹下左膳』(1953年)

小学校の低学年のころ、丹下左膳の映画はよく見た。左膳を演じたのは、大友柳太郎である。大友柳太郎の丹下左膳は何本か見たはずだが、こまかな記憶は薄れてしまっている。 しかし、「こけ猿の壺」と「ちょび安」という名前は、子どものころの記憶にある。だ…

ジョニー・ウィンター「ジョニー・B・グッド」

ジョニー・ウィンターの初来日公演よかったらしい。shiropさんも、ブログで褒めているし、知人でブルース・ファンのオオヤマさんも、「よかった、よかった」と興奮していた。 オオヤマさんから、外観はすっかり老け込んで、椅子にすわったままの演奏なのに、…

三浦しをん作『まほろ駅前多田便利軒』

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/01/09メディア: 文庫購入: 10人 クリック: 196回この商品を含むブログ (276件) を見る 多田啓介と行天春彦(ぎょうてん・はるひこ)。高校時代のふたりの同級生が再…

型を破ってゆく〜「志賀直哉対話集」より

小津安二郎は『晩春』を撮るとき、「自分には随筆を書くようなつもりだ」と、いった(杉村春子の言)。 小津安二郎の映画は、戦後ますますストーリー性が希薄になって、いわゆる一般的な映画から離れていく。それを小津は「随筆」と表現したのかもしれないし…

ルイ・アームストロング「この素晴しき世界」

以前勤めていた会社のイシザカさんとオオヤマさんが幹事のバス旅行に参加する。往復観光バスの1泊2日(4月16日〜4月17日)で、会費8000円の格安。 泊まり先は、栃木県の塩原。行きのバスのなかから、お酒を飲みつづける気楽な旅行だ。 ★ その晩は、カラオケ…

成瀬巳喜男監督『女が階段を上がる時』(1960年)

女が階段を上る時 [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2005/08/26メディア: DVD購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (58件) を見る 高峰秀子の映画を何か見たくなり、見る。この映画、はじめて見たときもすごいな、とおもったが、今度もすっかり感…

浅草の伝法院庭園を見てくる(4月2日)

朝、新宿三丁目の「テアトル新宿」へ前田弘二監督『婚前特急』を見にいったら、監督・俳優の舞台挨拶があるということで、すでに初回は売り切れ。そんなイベントがあるならはじめから出かけなかったのに。 新宿駅まで歩いてもどる。上野へ。 浅草へいく前に…

西村賢太著『暗渠の宿』

暗渠の宿 (新潮文庫)作者: 西村賢太出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/01/28メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 139回この商品を含むブログ (61件) を見る やっぱりおもしろかった。夏目漱石がどこを切っても均等にうまいことを、羊羹(ようかん)に例え…

志賀直哉と杉村春子の対談〜『志賀直哉対話集』より(1969年)

20代か30代のころ、神田神保町の古本屋、北澤書店*1で買った本が、本棚から出てきた。全編志賀直哉の飾りけのない<肉声>が伝わってきて、興味が尽きない。対談の相手も、いろいろだ。 ★ 目次を写してみると、 谷崎潤一郎「文芸放談」 天野貞祐「内村鑑三そ…

小津安二郎監督『晩春』(1949年)

地震の起こる前、雑誌「新潮45」が、原節子15歳の出演映画『生命の冠』を付録にしていたので、購入して見た。予想はされたが、案の定、原節子の出番は少ない。それで、この映画を見たあと、もっと原節子の映画が見たくなった。 で、比較的最近『麦秋』、『東…

ビートルズ「ロング・アンド・ワインディング・ロード」

レット・イット・ビーアーティスト: ザ・ビートルズ出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン発売日: 2009/09/09メディア: CD購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (34件) を見る 完璧なアルバム『アビー・ロード』(1969年)の次にビートルが発表…

大山へ向かう峠茶屋のシーン〜志賀直哉『暗夜行路』より

暗夜行路 (新潮文庫)作者:直哉, 志賀新潮社Amazon わたしは、志賀直哉の『暗夜行路』は、全編を貫くテーマや思想よりも、細部で光るなにげない描写が好きだ。『暗夜行路』をしかつめらしく読む必要はなく、作者の見つめる視線の先を、いしょに楽しめばいいの…

ビートルズの「レット・イット・ビー」

レット・イット・ビーアーティスト: ザ・ビートルズ出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン発売日: 1998/03/11メディア: CD クリック: 29回この商品を含むブログ (59件) を見る 映画『レット・イット・ビー』を有楽町のスバル座で見たのは、1970年。 何…

矢崎仁司監督『スイートリトルライズ』(2010年)

スイートリトルライズ [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2010/10/06メディア: DVD購入: 2人 クリック: 78回この商品を含むブログ (38件) を見る DVDケースの解説を読んで、レンタルしてみました。 ★ 若い夫婦なのに、すでにお互いの関係は冷え…

万田邦敏監督『接吻』(2008年)

接吻 デラックス版 [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント発売日: 2009/02/25メディア: DVD クリック: 62回この商品を含むブログ (84件) を見る 孤独で誰にも注目されない人生を送ってきた女が、一家3人を鈍器で撲殺した犯人をテレビで見て、…

山下敦弘+ボブ・ディラン〜山下敦弘監督『マイ・バック・ペイジ』(5月28日公開予定)

マイナー映画のときから、注目している山下敦弘(やました・のぶひろ)監督の新作が5月に公開される。 『どんてん生活』(2001年) 『ばかのハコ船』(2002年) 『リアリズムの宿』(2003年)*1 『リンダ リンダ リンダ』(2005年) 『松ヶ根乱射事件』(200…

その日のこと(3月11日)

スポーツクラブで汗をながしてから、いつもいくラーメン屋さんへいく。このお店は、中国人のきれいなおかみさんがやっている。 いつもレモンサワーを2杯たのむと、豪華なネギチャーシューと冷奴を、無料でつまみに出してくれる。 そういう決まりがあるわけで…