かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2007-01-01から1年間の記事一覧

溝口健二監督『残菊物語』(1939年/松竹)

原作:村松梢風 脚本:依田義賢 出演:花柳章太郎、高田浩吉、森赫子 現在残る芸道三部作のうちの1本。歌舞伎役者と彼を支える女性との悲恋を描く。ワンシーンワンショットに近い入念でねばり抜いた撮影によって、溝口の「長廻し」撮影は完成の域に達した。 …

11月26日、レッド・ツェッペリンが一時的再結成!

ロック・ファンはもう知っているでしょうけど、こちらのニュースを見て、びっくりしています。 レッド・ツェッペリンが、ロンドンで再結成コンサートをやるそうです。 これまでも、85年(あの「ライヴ・エイド」)ともう1度88年に一時的な復活をしていますけ…

新文芸座はいま溝口健二特集です

9月8日(土)からはじまって、9月21日(金)まで、日替わりで溝口健二特集をやっています。上映は、1日2本。最近こういう旧作特集をやっても、1本1本入替制をとる映画館が多くなったので、1回の入場料金で2本見られる「新文芸座」は、むかしからがんばってい…

新藤兼人監督『愛妻物語』(1951年)

配給:大映 脚本:新藤兼人 美術:水谷浩 出演:宇野重吉、乙羽信子、滝沢修 むかし脚本を読みながらずっと見るチャンスがありませんでした。新藤兼人監督のデビュー作。半自伝的作品です。 ★ ★ ★ 京都へやってきた沼崎敬太(宇野重吉)は、憧れの坂口監督(…

新藤兼人著「ながい二人の道 乙羽信子とともに」

jinkan_mizuhoさんが、8月26日のブログに新藤兼人の「愛妻記」について書かれていますが、この本もまた「彼女へのレクイエム(鎮魂曲)」です。 ◆ ◆ ◆ 新藤兼人は、つくりたい映画をつくるために独立プロの「近代映画協会」を設立。しかし、新藤の先鋭的な映…

再び「Beatles In Budokan 1966」を見る(9月7日)

夕方ringoさんのキルト作品「Beatles In Budokan 1966」を拝見しに、渋谷の東急本店へいく。会場へはいって見ていくと、奥の壁面、一番目立つ位置に、その作品はありました。ビートルズが好きなひとなら、すぐ目に飛び込んでくる場所です。 武道館の「The Be…

三遊亭圓朝の世界を楽しむ!

しばらく前に買ったまま読みそびれていた、雑誌「東京人」の三遊亭圓朝特集を読む。圓朝作の落語や人情噺は多く、原作を意識しなくても、ふだんから自然自然となじんでいるものがほとんどだ。 わたしが噺や映画で知っている作品だけでも、、、 【怪談】 怪談…

清水宏監督『風の中の子供』(1937年)

昭和12年作品 原作:坪田譲治 脚色:斎藤良輔、清水宏 撮影:斎藤正夫 出演:河村黎吉、吉川満子、坂本武 子供時代大変腕白で、自身も子供大好きで知られる清水宏監督作品。 田舎に住む善太と三平兄弟は、自然の中で楽しい夏休みを過ごしているときに、父親…

溝口健二監督『折鶴お千』(1935年)

原作:泉鏡花 撮影:三木稔 出演:山田五十鈴、夏川大二郎 活弁士:澤登翠 豪雨で汽車の止まったホームで待つ男、そして待合室で待つ女、彼らは神田明神を見つめながら昔のことを思い出す。その男、秦宗吉は田舎から出てきたが絶望し、自殺しようとしていた…

黒澤明『海は見ていた』(シナリオ)

「巨匠が遺した絵コンテシナリオ創作ノート」という副題がついています。 先日熊井啓監督で映画を見たばかり。シナリオを図書館で見つけたので、さっそく読んでみました。あの映画、どこまでが黒澤明で、どこからが熊井啓監督だったのか。 読んだ印象を結論…

吉田修一著『東京湾景』(2003年)

品川埠頭の倉庫で働く亮介は、お台場の企業で働く美緒と、携帯の出会い系サイトで知り合う。 亮介は美緒の心身ともに惹かれるが、美穂にとって亮介の魅力は、<からだの相性>だった。美緒は、亮介のアパートにいつづけ、会社を遅刻・欠勤。有能なキュリアが…

黒土三男監督『蝉しぐれ』(2005年)

原作:藤沢周平 出演:市川染五郎、木村佳乃、緒形拳、原田美枝子 民放で放映されたので、ビデオ録画で見ました。ringoさんがブログで紹介していた作品です。ringoさんは、「しっとりとした時代劇」と表現していますけど、まさにラスト・シーンはその言葉が…

三隅研次監督『剣』(1964年)

配給:大映 原作:三島由紀夫 脚本:船橋和郎 出演:市川雷蔵、川津祐介、藤由起子、河野秋武 【あらすじ】 大学の剣道部。いっさいの遊びをさけて、剣道一筋に生きる国分(市川雷蔵)と、剣道を愛しながらも、大学生活を適度にたのしもうとする賀川(川津祐…

浜本正機監督『あかね空』(2006年)

原作:山本一力 出演:内野聖陽、中谷美紀 京から江戸に下った豆腐職人・永吉と深川育ちの娘おふみ。味覚、しきたりを乗り越え、店を構えた市井に生きる夫婦と子どもたちの二代に渡る愛と葛藤の歳月を描いた人情話!! ★(「ギンレイ通信」Vol.101より) 最…

蜷川実花監督『さくらん』(2007年)

原作:安野モヨコ 監督:蜷川実花(にながわみか) 音楽:椎名林檎 出演:土屋アンナ 、安藤政信 、木村佳乃 、菅野美穂 【解説】本作がデビュー作となる世界的フォトグラファーの蜷川実花が、カリスマ漫画家・安野モヨコの同名コミックを映画化。華やかな江…

中田秀夫監督『怪談』(公開中)

原作:三遊亭円朝 脚本:奥寺佐渡子 出演:尾上菊之助、黒木瞳、井上真央、麻生久美子、木村多江 原作は、三遊亭円朝の『真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)』。親の悪縁が子の代にまで及ぶ、という長い長い因果噺がもとになっております。 【あらすじ】 身…

「笑の大学」(舞台版)

DVD

上演:1998年 脚本:三谷幸喜 演出:山田和也 出演:西村雅彦、近藤芳正 星護監督の映画『笑の大学』は途中で出てしまいたくなるほど退屈でした。出演者が懸命にがんばればがんばるほど、おもしろくないんです。この狙いのずれってなんだろう、と考えてしま…

熊井啓監督『海は見ていた』(2002年)

原作:山本周五郎 脚本:黒澤明 出演:清水美沙、遠野凪子、永瀬正敏、吉岡秀隆 海の見える遊郭ってどこなのかな、って映画を見ながらおもいました。品川あたりかな、って。「goo映画」の解説を見たら深川でした。 深川と海……東京の地形にうといので、すぐに…

熊井啓監督『お吟さま』(1978年)

原作:今東光 出演:中野良子(お吟)、志村喬(千利休)、中村吉右衛門 (高山右近)、三船敏郎(豊臣秀吉) 同名の作品が、1962年に田中絹代監督でも撮られているようですが、残念ながら見ていません。 【あらすじ】 天下統一をなした豊臣秀吉は朝鮮・明へ…

キング・オブ・ロックン・ロール

[rakuten:ajewelry:10000083:image] ★【注】:ringoさんの「リンゴ日記」のコメントにかえて 先日、クルマでラジオをつけたらNHK-FMで2時間のエルヴィス・プレスリー特集をやっていました。しかも、普段あまり聴いたことのない曲をやっています。エルヴィス…

新藤兼人監督『原爆の子』(1952年)

[rakuten:s-premium:10018449:image] DVDで新藤兼人監督の『原爆の子』を見ました。1952年公開です。原爆を投下されてから6年後の広島が舞台になっています。 瀬戸内海の島で、小学校の先生をやっている孝子(乙羽信子)は、夏休みを利用して広島へやってき…

「日本が見えない〜戦時下の詩と夢・竹内浩三」

ringoさんから映像をお借りして、見ることができました。番組は、戦時下に生きた竹内浩三という青年を、現在の若い人の視点から親しみやすくスポットをあてています。 ぼくにとって番組最大の収穫は、竹内浩三を世の中に紹介した実姉の<こう>さんを見るこ…

テレビ・ドラマ「はだしのゲン」を見る

20代のころ、マンガの「はだしのゲン」(中沢啓治作)を読んで強い衝撃を受けました。夢中で10巻を次々読みました。 家にあったマンガ「はだしのゲン」は、その後二人の子どもたちも繰り返し読んでいたようです。戦争について、原爆について、特別子供たちに…

わたしが一番きれいなとき(「茨木のり子詩集」より)

偶然NHKの3チャンネルをかけたら、10分間の茨木のり子(いばらぎ・のりこ)特集をやっていました。番組が紹介していたのは、「わたしが一番きれいなとき」という詩でした。 すばらしい詩です。全文を引用します。 ■わたしが一番きれいだったとき わたしが一…

竹内浩三、出征の朝に……(1942年10月1日)

竹内浩三が、出征の朝、机の上に書き残した文です。 【書置き】 十月一日、すきとおった空に、ぼくは、高々と、日の丸をかかげます。 ぼくの日の丸は日にかがやいて、ぱたぱた鳴りましょう。 十月一日、ぼくは○○連隊に入営します。 ぼくの日の丸は、たぶんい…

善き人のためのソナタ(2006年)

制作国:ドイツ 監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 出演:ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・ゴッホ、マルティナ・ケデック 1989年ベルリンの壁崩壊前、東ドイツ国家保安省局員ヴィースラーは、反体制の証拠をつかむため、劇作家の日常…

ハンス・カノーザ監督『カンバセーションズ』(2005年)

制作国:アメリカ 主演:ヘレナ・ボナム=カーター、アーロン・エッカート、ノラ・ザヘットナー マンハッタンのホテルのウエディング・パーティで10年ぶりに再会した昔の彼と彼女……。今の二人とかっての二人、口をついて出た言葉と本当の気持ち、二つの瞬間…

エドガー・ライス・バローズ著『地底世界ペルシダー』(少年少女世界SF文学全集)

小学生の高学年から中学生向きに書かれた、子ども向け翻訳小説です。翻訳者は、野田昌宏氏。子ども向けですから、わかりやすく読めました。 ペリーおじさんのつくった鉄モグラ(先端にドリルがついています)で、地面を掘起こしながら、地底へもぐっていくん…

ビリー・ワイルダー監督『失われた週末』(1945年)

制作国:アメリカ 原作:チャールズ・ジャクソン 脚本:チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダー 出演:レイ・ミランド、ジェーン・ワイマン、フィリップ・テリー きのうは(7月30日)予算2000円ずつということで、酒豪のIさんと赤羽の「いこい」へいき…