かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

2010-01-01から1年間の記事一覧

中村登監督『三婆』(1974年)

金融業の社長が急死したために、本妻と妾と小姑が同居生活することになり、身寄りのない“三婆”の欲の皮のつっぱった奇妙な三角関係が展開される。原作は有吉佐和子の同名小説の映画化。 (「goo映画」より) 本妻と妾と小姑が、互いに確執を繰り返す様を、ユ…

横浜聡子監督『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009年)

麻生久美子が出演しているので見ました。 子どもがそのまま大人になったような純真な青年(松山ケンイチ)が、失恋の傷を負ったまま東京から青森にやってきた女性にひと目惚れしてしまう、というようなストーリーでした。 ぼくの好みにあわないな、とおもっ…

本気度120%の女性版ツェッペリン

レッド・ツェッペリンのトリビュート・バンド、レッズ・ツェッペリンのデビュー・アルバム『レッズ・ツェッペリン』が発売されたのは、2007年だった。 気になりながらずっと聴きそびれていて、今頃になってアルバムを聴いた。これが、いいのだ。 ●曲目リスト…

ボブ・ディラン、2009年に「ビリー」(ビリー・ザ・キッドのテーマ)を歌う

★30歳を過ぎていたディランが、10代の少年役で出演している。ビリー・ザ・キッドを演じたのは、クリス・クリストファーソン。 ★ ボブ・ディランの最新音源をYoutubeで探しながら聴いていたら、2009年に「ビリー(Billy)」をライヴ演奏していることにおどろ…

成瀬巳喜男監督『朝の並木路』(1936年)

『朝の並木路』は、「あしたのなみきみち」と読む。 ★ 「カフェの女給」の世界は、成瀬巳喜男監督の得意な素材ともおもえるが、後年の成瀬作品のような厳しさはない。 カフェのおかみさんも、友人も、主人公に終始やさしく、お金にシビアな側面はみせない。 …

是枝裕和著『歩いても 歩いても』

同名映画の原作。ただし監督本人が書いているので、どこまで小説と映画が分離して成立しているのか、わからない。 映画の着想を膨らませるために、小説を書くのか、ともおもうけれど、それならシナリオを書けばよいのだろうし、この小説を書いている時点で、…

等々力渓谷〜目黒川〜上野〜隅田公園(4月3日)

★桜橋から見た隅田川の遠景 桜を見ながら、1日歩いた。 ★ ■等々力渓谷 極貧荘(東上線東武練馬駅)→JR池袋駅→JR渋谷駅→東急東横線自由が丘駅→大井線等々力駅で下車。所要時間は、約1時間。 大井線に乗るのはおそらく初めてなので、ちょっとした旅行気分にな…

山田太一脚本『遠まわりの雨』

山田太一脚本、主演が夏川結衣と渡辺謙、というだけでも見逃せない。そしてやっぱり、見てよかったです。 小さな工場のおかみを演じる夏川結衣は、生活感あふれる中小企業の経営者のおかみさんそのものなのに、むかしの恋人である渡辺謙が登場すると、美しい…

熊澤尚人監督『おと・な・り』(2009年)

tougyouさんもjinkan_mizuhoさんもおもしろい、という感想を書かれていたので楽しみに見ました。主役の岡田准一、麻生久美子がよかったです。麻生久美子は、映画を見るたびに「いいなあ」と感じています。 ただ脇役の二人は、もう一歩でした。岡田准一の家へ…

「黒澤明、生誕100年」の特集記事を読む

雑誌「一個人」の特集が、「生誕100年、黒澤明全30作品を完全鑑賞」。 95%が黒澤明の特集なので買う。新しく知るようなことはなかったが、豊富な写真とともに、黒澤明の数々の名画の解説を読んでいると、強烈に刺激されて、もう一度全作品を見直してみたい…

斉藤明美著『高峰秀子の流儀』を読む

一貫して「女優という仕事」が嫌いだったという、高峰秀子の近況が、詳しく描かれている。 斉藤明美さんの本で読んだのは、『高峰秀子の捨てられない荷物』が最初で、これは2冊目。どちらも、おもしろい。高峰秀子のファンにはたまらない本である。 著者は…

三木聡監督『亀は意外と速く泳ぐ』(2005年)

この映画で、三木聡(みき・さとし)監督の映画を見るのは、4本目。『インスタント沼』、『転々』はおもしろく、『図鑑に載っていない虫』は、笑いがえげつなくて、最後まで見れませんでした。 で、今回見た『亀は意外と・・・』ですけど、おもしろかったで…

レッド・ツェッペリン「永遠の詩」

●読み方は、「永遠(とわ)の詩(うた)」 ★ 「rockin'on Books」の『LED ZEPPELIN〜不滅の金字塔 レッド・ツェッペリン、その神話のすべて』という本を読んでいたら、むしょうにレッド・ツェッペリンが聴きたくなって、この数日クルマのなかで、彼らの全ア…

早朝の越生梅林(3月14日)

前の晩早く寝たので、早朝5時頃目が覚めた。インターネットを見ていると、家人も起きてきたので、越生までドライブにいくことにする。川越から越生までは、早朝ですいていると30分ほど。 梅の季節は終わったのでは、とおもっていたが、まだ十分咲いていた。 …

豪徳寺、経堂、下高井戸を歩く(3月13日)

最近運動不足が続いて、体重が加速している。先日娘から、「どうしたの、そのお腹!」と、露骨にいわれた。たしかに、腹がぽこっと膨らんでいる。これは歩かなければいけない、とおもった。 ★ 仕事あけ、アラームをつけずに寝ていたら、起床が11時半になる。…

三木聡監督『転々』(2007年)

『インスタント沼』が、予期せぬ収穫だったので、久しぶり監督そのひとに興味をもつ。『転々』も、三木聡監督の作品。 三浦友和とオダギリ・ジョーが冴えないいでたちで、井の頭公園から霞ヶ関まで歩く、という、「えっ、それで映画になるのですか、しかし」…

熊坂出監督『パーク アンド ラブホテル』(2008年)

くたびれかかったラブホテルを経営している艶子。ホテルの屋上には、小さな公園があり、町の人々に解放していた。とっつきにくく、無愛想な艶子であるが、公園はいつも老人や子供たちで賑わい、夕暮れ時に子供たちを家に帰すのに一苦労するほどだった。その…

キャスリン・ビグロー監督『ハートロッカー』(上映中)

おおかたの予想を裏切り、『ハートロッカー』が、大作の『アバター』を破ってアカデミー賞作品賞をとった、ということを聞いて、もとがミーハーなので、俄然その作品が見たくなりました(笑)。 『アバター』は『アバター』でおもしろかったし、こういう傾向…

三木聡監督『インスタント沼』(2009年)

おもしろかったです。2009年の作品賞が、『ディア・ドクター』とこの作品で争ってもよかったのでは。そうおもいました。 しかし、むかしから、コメディは、賞には不利なんですよね。 教訓は何もありませんが(それが爽やかです)、ドタバタでない、このくすぐ…

あの日のジュリア(2007年10月12日)

●もっとも好きなジュリアの写真。賢さもユーモアもこの表情に表れているような気がします。 ★ ジュリアのことを想い出して、保存しているパソコンの画像を見てみました。 ジュリアは2009年10月3日に永眠しましたが(ringoさんのこちらの日記に詳しく臨終の様…

ポール・マッカートニーのライブ、あれやこれや(手古名さんへ)

●手古名さん ポールはソロでもいっぱい曲があるので候補に挙がっているのはほとんどソロの曲ですね。 私はもし来日したらビートルズ時代の曲ももっと演奏してほしいなあ。 今やThe Beatlesの曲を演奏できる(特に歌える)メンバーはポールしかいないんだもの…

リンゴ・スターのインタビューから

「ビートルズ・クラブ」の最新号(3月号)、31頁に、「最新リンゴ名言集」という記事が出ている。そのなかで、次の発言が興味をひく。 ●4年前に両肩を手術したことについて リンゴ:ドラミング症候群さ(笑)。でも僕は練習をしないからね。なぜってひとりで…

朗読で聴く志賀直哉「真鶴」・・・その2(現在、朗読のサイトは削除されているようです)。

「真鶴」の書き出しは、こうはじまる。 伊豆半島の年の暮だ。日が入って風物総てが青味を帯びて見られる頃だった。十二三になる男の児が小さい弟の手を引き、物思はし気な顔付をして、深い海を見下ろす海岸の高い道を歩いていた。弟は疲れ切っていた。子供な…

朗読で聴く志賀直哉「真鶴」〜その1

tougyouさんに教えてもらい朗読で志賀直哉の「転生」を聴く。「転生」は、志賀夫妻らしい二人の人物が登場するが、途中からユーモラスな童話へ発展していく。黙読とは違うおもしろさがあった。 「転生」を聴いていたら、さらに他の志賀作品の朗読がネットに…

[ビートルズ]デモ・テープで聴くジョージ・ハリスン(誕生日を祝って)

ジョージの誕生日は、本人いわく、「1943年2月24日午後11時42分」だそうです。ぼくらは、ずっと2月25日としてなじんできていますが、まあ、どちらでもいいですね(笑)。 20日ころから、ずっとジョージのソロ・アルバムを聴きなおしています。「ビートルズ探…

青柳信雄監督『四つの結婚』(1944年)〜太宰治原作の国策映画

昭和19年の作品。登場人物のセリフには、戦時下らしい勇ましい言葉が出てくるが、映画全体はのんびりしていて、「戦意高揚」の色合いは少ない。 映画のあらすじは、出兵している友人(江川宇礼雄 )に代わって、婚約の話を進めるため、相手の女性の家を訪問…

文学を読むというのは、文章の行間を読むことではないか、と思いますね(立松和平氏の言葉)

2月16日の早朝、クルマでNHKの「ラジオ深夜便」を聞いていたら、午前4時から亡くなった立松和平さんのインタビューを再放送していた。 独特の優しい朴訥な語り口で、立松さんの話はついつい惹きこまれてしまう。 「ラジオと私」というテーマのなかで、立松和…

ジョージ・ハリスン初期のボーカル・カバー・ソング

ジョージ本人によれば、本当は「2月24日午後11時42分生まれた」らしい。従来は2月25日で通っていたけど、まあ、どちらにしてもあまり違いはないですね。 1943年生まれなので、元気ならば67歳になる。 ★ 先日テレビ番組を録画したDVDを見ていたら、小林克也氏…

我孫子、志賀直哉、白樺文学館(2月6日、土曜日)

約2年ぶりに我孫子訪問。 午後1時に着いたので駅前の「味平ラーメン」を食べる。ぶらぶら駅前から下り坂の道を手賀沼へ向かって歩いていると、前から気になっていた「白樺カレー」を売っている店があったので、買う。 手賀沼周辺を散歩したが、風が強くて冷…

山田洋次監督『おとうと』(上映中)

山田洋次監督は寅さんの映画を「愚兄賢妹」の話、と何かでいってたけど、この映画『おとうと』は、「愚弟賢姉」の話。 どうしようもない弟に手を焼く吉永小百合の姿は、やっぱり、弟と兄の違いはあれど、寅さんに手を焼く、妹のさくら(倍賞千恵子)を思い浮…